元動物看護師が教える!どの猫種が飼いやすい?
近年、猫人気が凄まじく、猫を飼う人も多くなってきました。
犬よりもお世話が楽で、ツンデレな性格も魅力のひとつですよね。
そんな猫達ですが、種類によって大まかな性格が決まっていると言われています。
もちろん飼育環境によって変わってくると思いますが、遺伝的に多いとされている病気も紹介しますので、選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
もくじ
日本猫(雑種)
日本で飼育されている猫のおよそ80%が日本猫の雑種の子達です。
普段よく外でみかける野良猫たちのことです。
今では一切の混じりもない日本猫はほぼおらず、ほとんどが外国から来た他の猫と混ざっているので、雑種猫と呼ばれることもあります。
日本猫に起こりやすい遺伝性の疾患は特に報告されておらず、比較的病気になりにくいと言われています。
しかし、高齢になると80%以上で腎不全(腎臓が障害を受けて、十分に機能しなくなること)になると言われています。
実際に毎日点滴に通う子がいたり、定期的に検査に来る子がいたり、腎不全の高齢猫はかなり多かったです。
泌尿器系のトラブルも多く、膀胱炎(膀胱に炎症が起こること)や尿路結石(腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿路に結石ができること)もよくみられました。
結石で閉塞してしまい、尿が出なくなってしまうと命に関わることもありますし、閉塞解除の処置もなかなか大変で、猫にとっても相当なストレスです。(病気になっていること自体が既にストレスですが…)
常にいつもと違う様子がないか気にかけて、異変があればすぐに受診するようにしてくださいね。
また定期的に健康診断を受けて、尿や腎臓に異常がないかみてもらうようにしておくと安心です。
日本猫は、ペットショップやブリーダーで売られていることはまずないので、里親募集や外にいる子を迎え入れることになり、経済的です。
その分、気軽に飼い始めることができ、責任感もなく飼う人間も多く、病気になった時などに問題になります。
雑種の元野良だった子であっても、1度おうちに入れて家族にすると決めたのであれば、最後まで責任を持って、飼うようにしてくださいね。
被毛は短毛がほとんどなので、長毛種と比べると抜け毛はましです。
ましと言っても猫の抜け毛は多いです。
毎日のブラッシングは必要ではありませんが、定期的にブラッシングはしてあげる必要があり、おうちのお掃除もこまめにしてくださいね。
日本猫にはたくさんの柄や色があり、どれも魅力的です。いくつかの柄と大まかな性格を紹介します。
三毛猫
日本猫といえば、三毛猫を思い浮かべる方も多いですよね。
黒と白とオレンジの3色が混じりあった特徴的な柄です。
海外ではめずらしく、人気があります。
また、遺伝子の関係でほとんどが女の子で、男の子はかなりめずらしく3万分の1の確率とも言われています。
性格はわがままでキツい子が多いです。
気まぐれで「ザ・猫!」という性格の子が多いイメージです。
懐いた人にはゴロゴロする子もいるのて、そのギャップがまた堪らないですね。
サビ猫
黒とオレンジのまだら模様で、錆びのようなのでサビ猫と呼ばれています。
ぞうきん猫と呼ぶような、失礼な話もあるようです。
サビ猫も三毛猫の1種であり、女の子がほとんどです。
性格は、三毛猫とは逆で大人しく、社交的で優しく、賢い子が多いようです。
落ち着いている子が多いですね。
麦わら猫
あまり知られていませんが、黒とオレンジに黒の縞模様がある子を麦わらと呼びます。
サビとよく似ていますが、黒の縞模様があるかどうかで見分けます。
また、黒とオレンジの色合いもサビより薄いイメージです。
性格は、警戒心がかなり強く、怖がりで気もかなり強い子が多いです。
三毛猫よりも気が強く、慣れるまで時間がかかると言われています。
麦わらも同じく遺伝子の関係でほとんとが女の子です。
トラ
茶トラ
オレンジの縞模様が特徴的なのが茶トラです。
三毛猫達とは反対に、こちらはほとんどが男の子です。
性格は人懐っこく、温厚で、男の子が多いからか甘えん坊が多いようです。
また体つきは、がっしりとした大きめの子が多いと言われていますが、これも男の子が多いからだと思われます。
サバトラ
グレーのようなベースに黒の縞模様がサバトラです。
性格は2パターンあると言われており、警戒心が強く、怖がりでなかなか人に懐かないタイプと、フレンドリーで人が好きな甘えん坊タイプがいます。
真逆の性格なので、きちんと見極めて、接してあける必要があります。
キジトラ
焦げ茶ベースに黒の縞模様はキジトラです。
日本猫のルーツと言われている猫の要素が1番強く残り、警戒心が強く、野性的です。
好奇心旺盛で運動能力も高いので、おうちでもしっかりと遊べるスペースとおもちゃがあるといいですね。
単色
白
なんの混じりもない真っ白な子です。
色は白いですが、アルビノ(先天性色素欠乏症)とは別です。
アルビノの場合は眼の色が赤色になります。
自然界では白は目立つ色なので、生き残る知恵が必要なことが多いからなのか、警戒心と気が強く、頭の良い賢い子が多いです。
眼の色はゴールドか青が多く、青い眼の子は、青い側の耳が難聴の可能性が高いと言われているので、注意が必要です。
黒
黒猫が横切ると縁起が悪いなどと言われますが、昔は逆で、黒猫は縁起がいいので素通りされると縁起が悪いという意味で使われていたようてす。
クールな印象ですが、甘えん坊で人好きな子が多いです。
ハチワレ
額に漢数字の「八」のように柄があるのがハチワレです。
全体的に黒が多い黒白と白が多い白黒がいます。
黒白はやんちゃで好奇心旺盛、白黒は警戒心が強く、おとなしい子が多いようです。
洋猫
日本で人気の、ペットショップにいる猫種のほとんどが海外のいろいろな国や地域が発祥です。
それぞれの地域の気候や目的、嗜好に合わせて改良され、様々な特徴があり、魅力的ですよね。
購入する価格は猫種にもよりますが高額なことが多く、遺伝的に発症のリスクのある病気も猫種ごとに異なります。
最近ではペットショップやブリーダーの元で、あらかじめ遺伝子検査を受けていることもあります。
洋猫たちの特徴、なりやすい病気をみていきましょう。
スコティッシュフォールド
人懐っこく、穏やかな性格で人気ランキングを連覇するほど人気です。
綺麗な顔立ちと折れ曲がってぺたんとなった耳が可愛いですよね。
運動量も少なく、のんびりしている子が多いです。
折れ耳が特徴的ですが、折れ耳は元々突然変異で、改良された今でも30%ぐらいの確率でしか生まれません。立ち耳のスコティッシュも可愛いですよね。
短毛と長毛がいますが、長毛はもちろん、短毛でも抜け毛はあるので、こまめにお掃除が必要です。
また長毛の子はこまめにブラッシングをしてあげないと、毛玉ができてしまうので、少なくとも1日1回はブラッシングしてあげましょう。
チャーミングな折れ耳ですが、実は骨の形成異常が原因で、他の部位での軟骨の異常も起こりやすくなります。
骨軟骨異形成症と呼ばれる遺伝性の病気で、折れ耳の子の方が重症化しやすいと言われています。
足の関節に大きな骨の塊ができ、痛みを伴い、歩行にも異常を来すこともあります。
立ち耳の子も軽度でも関節炎などの症状がある子がほとんどで、少なからず痛みを抱えていると言われています。
「スコ座り」と呼ばれる人間のように座る子がいるのも、大人しく他の猫より運動量が少ないのも、実は痛みからではないかという説もあります。海外では繁殖を禁止している地域もあり、問題になっています。
マンチカン
短い足と真ん丸の顔がチャーミングで猫界のダックスフンドと言われて、大人気ですよね。
でも実は足が長い子もいます。短足の両親を持つ子は死産してしまうことが多いので、片親は短足以外で交配させることになっており、足の長い子や中間の長さの子も多く生まれています。
性格は好奇心旺盛で人懐っこく、社交的なので、他の子との多頭飼いも比較的しやすいと言われています。(最終的にはその子達の相性次第ですが…)
色々な種類の猫と交配されているので、色や模様もバラバラで足長タイプの子だと、他の猫との判別が難しいこともあります。
立ち耳スコティッシュと見分けがつかないとよく聞きますが、スコティッシュは大人しくのんびりで、マンチカンは元気いっぱい!という子が多いので性格で見分けることができます。
足が短くても活発に動き、ジャンプしたりキャットタワーに乗ったりできます。
ジャンプ力は少し劣ってしまうので、低めのキャットタワーを置くなどして、太らせないように運動させてあげてくださいね。
マンチカンにも短毛と長毛がいますが、長毛は特に日頃からブラッシングは欠かさないようにしてあげてください。
グルーミングで自分の毛を口にしてしまうことが多いので、毛球症(身体の中に入った毛が塊になって、吐いたり、詰まったりすること)に注意が必要です。
また、太りすぎると足に負担がかかるので、肥満には気を付けてあげてくださいね。
ダックスほどではありませんが、椎間板ヘルニア(背骨の間にある椎間板が飛び出して、脊髄を圧迫し、痛みや麻痺などが起こること)や高齢になると腎不全も多いので、定期的に健康診断を受けて、早期発見できるようにしましょう。
アメリカンショートヘア
日本で日本猫に次いで飼育頭数が多いのが、アメリカンショートヘアです。名前の通りアメリカ出身で、縞模様の短い毛が特徴です。
短い毛と言っても、抜け毛はあるので、ブラッシング、お掃除はこまめにしてあげてくださいね。
筋肉質でがっしり型の体型で丈夫と言われています。
性格は明るく好奇心旺盛でやんちゃ、運動量も多いのでしっかり遊べる環境が必要です。
太りやすいと言われているので、運動不足にならないように気を付けましょう。
「肥満は病気」と人間でもよく言われていると思いますが、動物でも同じで肥満は病気です。
肥満が原因で他の病気になることもありますし、肥満というだけでリスクが高くなることもあります。
動物の食べる量や運動量は、人間が完全に管理することができるので、愛猫が太らないように飼い主さんが頑張りましょう。
肥満であることで糖尿病(インスリンが不足、もしくは機能せず、血中の糖が増えること)になるリスクがあり、手術をすることになった場合、麻酔のリスクも高まります。
また猫に多いと言われている下部尿路疾患(膀胱~尿道までの下部尿路に起こる疾患のこと)や腎不全にも注意が必要です。
遺伝的には肥大型心筋症(左心室の筋肉が分厚くなり、血液循環が悪くなること)、多発性嚢胞腎症(腎臓に多数の嚢胞(液体が入った袋状のもの)ができ、腎機能が低下すること)が起こりやすいと言われています。
ベンガル
ヒョウ柄のような綺麗な模様に小さな顔、シュッとした姿が美しく、かっこいいですよね。
元々はヤマネコとイエネコを交配して作られているので、身体も筋肉質でしまっています。
ワイルドな感じがしますが、性格は意外と人懐っこく穏やかな子が多いです。しかし運動量はかなり多く、エネルギッシュで、猫にはめずらしく水を嫌がることもあまりなく、水遊びをする子もいるほどです。
自由に動いたり、遊んだりできないとストレスが溜まり、問題行動を引き起こしたり、病気に繋がることもあるので、十分に遊べるスペース、おもちゃを用意してあげ、しっかりと遊んであげる必要があります。
被毛は短毛で、他の猫に比べると抜け毛が少なく、週1回程度のブラッシングでも大丈夫なので助かります。
特発性膀胱炎(原因不明の膀胱炎)や遺伝性の病気では、進行性網膜萎縮症(網膜が萎縮し、視力が低下すること)やピルビン酸キナーゼ欠損症(赤血球が破壊され、貧血を起こすこと)などが多発しやすいと言われています。
こちらの遺伝性の病気もあらかじめ遺伝子検査を受けることができるので、病気に対する心構えができるように受けてみてもいいかもしれません。
メインクーン
体格がかなり大きく、女の子でも体重5kg以上で体長1mほどになります。
穏やかな巨人と言われているぐらい、性格は穏やかで賢いです。
大きくてふわふわでとても可愛いですよね。
男の子の方が甘えん坊だと言われているので、ゴロゴロ甘えてほしい方は男の子をおすすめします。
被毛は長毛なので、毎日のブラッシングは欠かせません。
身体も大きいので、おうちでの抜け毛も目立ちます。
きちんとブラッシングができていれば、ふわふわサラサラで綺麗な状態を保てますが、サボってしまうと毛玉ができ、絡まって痛くなると触ると怒るようになったり、ひどい場合だと毛玉の部分が皮膚炎になってしまうこともあります。
そんなことにならないように、きちんとお手入れしてあげてくださいね。
肥大型心筋症や多発性嚢胞腎症がよくみられると言われています。
どちらも防ぐことはできないので、早期発見できるように定期的に健康診断を受けるようにしましょう。また、こちらの病気も遺伝子検査が可能なので、状況によって受けるか判断してくださいね。
ペルシャ
長くてふわふわの毛がゴージャスで落ち着きがあり、鼻ぺちゃな顔がチャーミングですよね。
猫らしい気分屋な性格でベタベタ触られたり、抱っこされたりはあまり好みません。
自分の気が向いたときだけ寄ってきて、触らせてくれます。
大人になると運動もあまりせず、のんびりしていることが多くなるので、肥満には気を付けましょう。
トレードマークの美しい長毛ですが、綺麗に保つためにはやはり、おうちでのブラッシングは欠かせません。柔らかい毛なので絡みやすく、放っておくとすぐに毛玉になってしまいます。
触られるのがあまり好きではない性格なので、大変だと思いますが、毛玉になってしまうとなかなかとれず痛い思いをさせてしまいますし、余計にブラッシングや触られるのが嫌いになってしまいます。
小さい時から毎日きちんとブラッシングをして、慣れさせるようにしてあげてくださいね。
他の猫種の子達のようにり肥大型心筋症や多発性嚢胞腎症のリスクがあります。
また流涙症(涙が止まらず常に目から溢れていること)による涙やけや、鼻が低いので結膜炎など目のトラブルも多いです。長毛なので毛球症にも気を付けましょう。
まとめ
数種類の猫を紹介しました。
猫種によってだいたいの性格が決まっていると言われていますが、周りの環境によって大きく左右されると思います。性格はあくまで参考にしてくださいね。
おうちでのお手入れや病気になるリスク、どこから迎えるのかなど、総合してどの子が合っているのかじっくりと相談して、決めてあげてくださいね。