ドッグトレーナー直伝!簡単な犬のお座りと伏せのしつけ方法
犬のしつけの基本でもある、お座りと伏せ。
おそらく、犬を飼うほとんどの人がチャレンジをするしつけでもあるでしょう。
ですが、はじめて犬を飼う人にとっては意外にこれらのしつけは難しいものです。
そこでこの記事では、誰でも簡単にできる犬のお座りと伏せのしつけ方法をご紹介します。
犬のお座りと伏せのしつけの基本
犬のお座りと伏せのしつけをはじめる前に、しつけの基本についてご説明します。
これらはすべてのしつけの基本となるため、かならずチェックしておきましょう。
犬にコマンド(命令)を出す
犬のしつけでは、どんな内容であってもすべてハンドラー(飼い主)によるコマンドから始まります。
コマンドとは、犬に対する命令のことです。
お座りのしつけでは「お座り」、犬をケージに入れたいのであれば「ハウス」などがコマンドとして挙げられます。
ちなみに、犬のしつけをするときに、多くの人が間違えていることがあります。
それは、コマンドを出す前に「ポチ!お座り!」などと犬の名前を呼んでしまっていることです。
犬のしつけは、ハンドラーによるコマンドに対して犬が行動をします。
そのため、しつけをする上で犬の名前を呼ぶ必要はありません。
大切なのは、犬はハンドラーからのコマンドにすぐに反応できるかどうかです。
犬を誘導する
おそらく、なんのしつけもされていない犬にコマンドを出したところで、キョトンとしているでしょう。
それは、なにもわからない犬であるため当然のことです。
そこで、犬にコマンドを出した後は犬をその姿勢になるように誘導しましょう。
ボールやおやつなどで誘導することで、犬はそのコマンドに合わせた姿勢になるはずです。
犬を強制する
犬を誘導しても、犬がなかなかコマンドに合った姿勢にならないことがあります。
そうなった場合には、犬を強制的にその姿勢にする必要があります。
強制といっても犬が苦しい思いをするわけではなく、首輪とリードを駆使して強制的に姿勢を変えるだけです。
そのため、しつけを強制されたとしても、その後にフォローしてあげれば犬のストレスになることもありません。
褒めてご褒美を与える
犬がコマンドに反応して正しい姿勢になったら、しっかりと褒めてあげましょう。
また、ご褒美も与えていっしょに喜びを分かち合います。
犬に対して喜びを伝えることで、犬はしつけへのモチベーションを高く取り組んでくれるでしょう。
ちなみに、いっしょに遊ぶことができるため、おすすめのご褒美はヒモ付ボールなどのおもちゃです。
おやつでもよいですが、肥満の原因にもなるためおもちゃのほうがよいでしょう。
犬のお座りと伏せのしつけ方法
それでは本題である、犬のお座りと伏せのしつけ方法をご紹介します。
手順さえしっかりとすれば、誰でもどんな犬種でも問題なくできるはずです。
犬のお座りのしつけ方法(誘導)
犬のお座りのしつけ方法ですが、先述したしつけの基本に沿って行います。
まずは、犬に「お座り」のコマンドを出しましょう。
おそらく、はじめのうちは犬がなにもわからないため、首を傾げて飼い主のいっていることを探ろうとするはずです。
そこで、犬を優しく誘導してあげます。
犬のお座りを誘導するには、手にご褒美を持ちましょう。
片手にご褒美を持ち、片手はリードを持ちます。
そして、犬の頭上にご褒美を持っていきましょう。
そうすることで、犬は頭上にあるご褒美を見ようと、お座りの姿勢になるはずです。
犬がお座りの姿勢になった瞬間に、思い切り褒めてあげましょう。
犬のお座りのしつけ方法(強制)
犬をお座りの姿勢に誘導をしても、ご褒美がほしくて飼い主のもとでピョンピョンと飛び跳ねることもあります。
そんなときには、強制的にお座りの姿勢にしましょう。
お座りの強制の方法としては、先ほどと同様に片手にご褒美、片手にリードを持ちます。
そして、犬の頭上にご褒美を持っていくところまでは同じです。
ここからが誘導とは違い、ご褒美を犬の頭上に持っていった瞬間にリードを持ったほうの手で犬のお尻をポンと軽く叩きましょう。
上を向いているときにお尻を押されることで、犬はお座りの姿勢になってしまうはずです。
そこで、犬を思い切り褒めてあげましょう。
犬の伏せのしつけ方法(誘導)
次に、犬の伏せのしつけ方法を見ていきましょう。
これも先ほどと同様に、誘導から行います。
犬に「伏せ」のコマンドを出した後は、犬がどう動くか様子を見ます。
もちろんはじめのうちから伏せができるわけではないので、誘導をしましょう。
犬の伏せの誘導の方法としては、これもご褒美を使用します。
ご褒美を、地面に近づけてみましょう。
そうすると、犬はご褒美がほしいため地面に顔を近づけるはずです。
そして、楽な姿勢でご褒美を触ろうとして、伏せの姿勢になるでしょう。
誘導が完了したら、ここでも思い切り犬を褒めてあげます。
犬の伏せのしつけ方法(強制)
犬によっては、うまく伏せの姿勢にならないこともあるでしょう。
そんなときには、やはり強制をしなければなりません。
犬の伏せを強制するには、ご褒美を持っていないほうの手で犬の首輪を掴みます。
そのまま首輪を、地面のほうに降ろしていきましょう。
すると、犬は抵抗をするでしょうが、諦めて首をペタンと地面に付けます。
その姿勢が伏せになっているはずですので、思い切り褒めてあげましょう。
ちなみに、伏せを教える際は、後ろ足が横に流れていても問題ありません。
犬は、徐々に伏せを覚えていくにしたがって楽に伏せようとするため、自然と正しい伏せの姿勢になるはずです。
伏せのしつけはとても大切
犬のしつけの中でも、伏せはとても大切です。
伏せを教えておくことで、犬が急に走り出したときやほかの犬と喧嘩を始めてしまったときに、止めることができます。
また、伏せは犬を落ち着かせるときにも効果的です。
家のチャイムが鳴ったときや来客があったとき、散歩中にほかの犬に吠えたときなどに犬を伏せさせることで、犬は落ち着きを取り戻すことができるでしょう。
そのため犬を飼うのであれば、伏せはかならず教えておくことをおすすめします。
犬のお座りと伏せのしつけをする際の注意点
最後に、犬のお座りと伏せのしつけをする際の注意点についてご紹介します。
しつけの仕方を間違うと犬の覚えが遅くなることもあるため、これらの注意点はしっかりと覚えておきましょう。
叱らない
犬のお座りと伏せのしつけは、しつけの中でもっとも簡単です。
そのため、犬を叱ってはいけません。
何度教えてもお座りや伏せを覚えないのは、おそらく飼い主のしつけ方法が間違っているからです。
お座りや伏せなどの簡単なしつけで犬を叱ってしまうと、犬は「しつけはつまらないものだ」と考えるようになり、その後の難易度の高いしつけに対しても積極的に取り組んでくれなくなります。
お座りと伏せのしつけは基本中の基本であるため、犬といっしょに楽しみながら取り組むように心がけましょう。
何度もコマンドを出さない
犬のしつけで大切なのは、何度もコマンドを出さないことです。
おそらく、多くの飼い主は「ポチ!伏せ!伏せ!」や、「待て!待てよ~」と何度もコマンドをいってしまうでしょう。
これは、飼い主が犬のことを信用していない証拠です。
コマンドは、一度出すだけで十分です。
むしろ、何度もコマンドを出してしまうと、犬は「別に1回目のコマンドで動かなくてもいいや」と、コマンドに対する緊張感が薄れてしまいます。
そのため、犬を座らせたいときには「お座り!」とコマンドを一度出すだけにしましょう。
ちなみに、「待て」のしつけの際も同様です。
「待て!待てよ~待てよ~」と何度も犬にコマンドを出していると、しつけの強化に繋がりません。
「待て!」のコマンドで犬がどれくらい待てるか、失敗したら次はどれくらい待てるのかを考えながらしつけをすることで、しつけが徐々に強化されていきます。
犬が行動するのを待つ
お座りや伏せのコマンドを出した後は、犬が動き出すのを待ちましょう。
はじめのうちはコマンドの意味がわかっていないでしょうが、何度か誘導や強制をされていれば、徐々に飼い主がなにを伝えたいのかを考えだすはずです。
そのため、コマンドを出した後に犬がなにかを考えているようであれば、すぐに誘導することなく、しばらくは犬がどう動くのかを見守ります。
そこでお座りや伏せなどコマンドに対して正しい姿勢になったら、思い切り褒めてあげましょう。
その瞬間が、はじめて犬がしつけに成功したときです。
犬が飼い主のコマンドに対して自分で考えた結果がしつけの成功に繋がったのであれば、犬の自信にもなります。
大きな声でハッキリとコマンドを出す
犬には、ハッキリと大きな声でコマンドを出しましょう。
小さな声や自信のない声だと、犬も飼い主の気持ちが伝わってしまいます。
そもそもしつけがされていない犬であれば、小さな声では聞こえないかもしれません。
小さな声でのしつけもありますが、それはしつけが完璧にできている犬に飼い主の声に対する反応を強化するためです。
そのため、はじめのうちは大きな声でコマンドを出すようにしましょう。
犬を威圧するような大きな声ではなく、ハッキリと犬が聞き取れるような声であることが大切です。
褒めてからご褒美を与える
ご褒美の扱い方も、犬を飼っている人の多くが間違いがちです。
おもちゃやおやつなどのご褒美は、「犬のしつけに対するご褒美」でもありますが、「飼い主に褒められた後にもらえるもの」でもあります。
おそらく、ほとんどの人は犬を褒めるのと同時にご褒美を与えるでしょう。
このご褒美の与え方は、残念ながら間違いです。
犬を褒めるのと同時にご褒美を与えると、犬はご褒美のためだけにしつけに取り組むようになります。
しつけをしているときは飼い主の目を見ることなくご褒美だけに集中して、飼い主からご褒美が与えられたら満足して去っていってしまうでしょう。
犬をご褒美だけに集中するのを避けるためには、犬を褒めた後にご褒美を与えることです。
「えらい!」「そうだ!」などと一通り犬を褒めた後にご褒美を与えることで、犬は「この人に褒められた後にご褒美をもらえる、つまりこれは正しいことができているんだ」と理解するようになります。
褒めるときは大袈裟に褒める
犬を褒めるときには、プライドを捨てて思い切り褒めてあげましょう。
頭を撫でて「よしよし」というのは、犬は褒められているとは感じません。
頭を撫でられているだけでは、慰められていると考える犬もいるでしょう。
そのため、犬を褒めるときには「えらい!すごい!天才!」などと大きな声を出しながら、犬といっしょに走り回ります。
そもそも、犬は飼い主といっしょに走ることが好きであることが多く、いっしょに走り回っただけでも褒められていると感じるはずです。
いっしょに犬と走り回り、褒めた後にはおもちゃを与えてそのおもちゃを引っ張り合いして遊び、また次のしつけに進みます。
大袈裟に褒めていっしょに遊びながらしつけに取り組むことで、犬はしつけを遊びの延長上ととらえて楽しみながら取り組むようになるでしょう。
強制をしたときはいままで以上に褒める
しつけの際の強制は、犬にとって少なからずストレスになります。
お座りや伏せのしつけであればそこまでのストレスを感じないでしょうが、待てのしつけは犬を叱ることもあり、犬は大きなストレスを感じながらしつけに取り組んでくれます。
そのため、犬のしつけで強制をしたときには、いままで以上に思い切り褒めてあげましょう。
犬の感じたストレスを少しでも軽減して、強制されたことを忘れさせてしまうような褒め方が大切です。
まとめ
犬のお座りや伏せのしつけは、数あるしつけの中では初級といえます。
しかし、簡単なしつけだからと適当に行ってしまうと、犬は「しつけは適当にいいんだ」と考えるようになります。
そのため、「たかがお座り」と考えずに、はじめのしつけだからこそ真剣に取り組むようにしましょう。
大きな声で犬にコマンドを出して、誘導し、強制します。
それを何度も繰り返すことで、犬は徐々に飼い主がなにを伝えたいかを感じ取ることができるようになるでしょう。
そしてしつけが成功したときには思い切り褒めてあげることで、犬はしつけが楽しいものだと感じてモチベーション高くしつけに取り組んでくれるようになります。