犬の手作りご飯は体に良い?動物看護師が伝えるメリットとデメリット
犬の手作りご飯は体に良い?動物看護師が伝えるメリットとデメリット
愛犬の健康を考えて手作りご飯に挑戦しようと思っている飼い主さんは増えてきています。
今回はそんな犬の手作りご飯のメリットとデメリットを紹介して行こうと思います。
犬の手作りご飯に対する正しい知識を得ておくことは愛犬の健康を維持する上でとても重要なことになっています。
また、手作りご飯にはメリットだけでなくデメリットもあるということを理解していきながら読んでいただければと思います。
もくじ
犬の手作りご飯のメリット
手作りご飯にはさまざまなメリットがあります。
上手に手作りご飯を活用することによって愛犬にとって嬉しい効果が期待できるかもしれません。
食事で悩んでいることがある飼い主さんは手作りご飯にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
では、犬の手作りご飯にはどのようなメリットがあるのか具体的に見ていきます。
添加物や保存料が入っていない
手作りご飯には添加物や保存料は一切含まれていません。
添加物や保存料は犬の健康に影響を及ぼす可能性のあるものもたくさん存在しています。
そのため、なるべく添加物や保存料は少ないものや入っていないものを与えるのが安心なのです。
しかし、市販のドッグフードなどは保存期間をなるべく伸ばして利便性を良くしたり、与えやすくするために保存料が入っています。
保存料の中には天然由来の成分を使用したものから、人工的な化学合成成分を使用したものまであります。
天然由来の保存料は比較的安心して与えることができますが、人工化学合成成分をしている場合には注意が必要です。
特に以下のような酸化を防ぐ酸化防止剤は人間の食材では使用が禁止されているようなもので非常に危険と言われているのでドッグフードを購入する際には添加されていないかどうかを確認するようにしましょう。
・エトキシキン
・BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
・BHT(ブチルヒドロキシトルエン)
保存料以外にも着色料や香料などの添加物にも注意が必要です。
添加物がたくさん使用されているドッグフードは原材料の質に自信がないと考えて良いでしょう。
なぜなら、着色料や香料は犬の食いつきが良くなるように加えられているからです。
原材料のお肉などの品質が良くないものや粗悪なお肉を使っている場合には犬の食いつきもあまり良くありません。
しかし、ドッグフードは犬が食べてくれないと売れないですよね。
質の悪い原材料を食べてもらうには添加物で香りを足したり、味つけをする必要があるのです。
安価なドッグフードなどでは添加物をたくさん使用して食いつきを良くしたり、美味しそうな色に着色しているものもありますので慎重に選ぶようにしてみてください。
犬の食に対する知識が増える
手作りご飯と作ろうと思ったら、犬にはどのような食材を与えて良いのかやどんな食材がどんな効果を発揮してくれるのかを勉強しなくてはいけませんよね。
つまり、毎日手作りご飯を作ることによって犬の食に対する知識が自然と身についてくるのです。
食事は健康に大きく影響を与える要素ですからたくさんの知識を持っておくことはとても重要なことです。
また、手作りご飯からドッグフードに戻そうと思ったときにもどのような原材料が使用されているのかを確認して安全かどうかやどのような効果が期待できるのかを理解できるようになります。
アレルギーに対応できる
愛犬にアレルギーがあって与えることのできない食材がある場合、ドッグフード選びがとても大変ですよね。
特に、お肉にアレルギーがある場合には市販のドッグフードのほとんどが与えられなくなってしまいますよね。
最近ではお肉の代わりにお魚を主原料としたドッグフードも販売されていますが、高価なものが多いですし数も少ないです。
しかし、手作りご飯にすれば愛犬が食べることのできる食材のみで献立を考えることができます。
自分自身で考えてご飯を作ればアレルギーがある犬にも安心して与えることができますよね。
犬の手作りご飯のデメリット
犬の手作りご飯には添加物や保存料が含まれていないことやアレルギーに対応したメニューで作ることができるといったメリットがあるということが理解していただけたのではないでしょうか?
愛犬の健康にとって嬉しいメリットがたくさんある手作りご飯ですが、実はデメリットも存在しています。
実際に手作りご飯にチャレンジしてみたいと考えている飼い主さんは手作りする前にどのようなデメリットが存在しているのかを理解しておく必要があります。
デメリットを理解した上で市販のドッグフードと手作りご飯のどちらが愛犬や飼い主さんに向いているのかを判断してみると良いでしょう。
栄養バランスが崩れやすい
手作りご飯の最大のデメリットはどうしても栄養バランスが崩れてしまうことです。
どんなに勉強して手作りご飯を作っていても市販のドッグフードの栄養バランスに勝てることはほぼないと考えて良いでしょう。
総合栄養食などのドッグフードはドッグフードとお水さえ与えていれば問題なく生活することのできるように作られています。
総合栄養食のドッグフードとして承認されるには厳しい基準をクリアしていないといけないため、しっかりと栄養バランスを考えて作られているのです。
この栄養バランスを手作りご飯で再現するのはとても難しいことです。
理想的な栄養バランスの手作りご飯を作るにはたくさんの勉強が必要になってくるでしょう。
栄養バランスが偏ったまま手作りご飯を与え続けていると、健康のために始めたはずなのに体調を崩してしまったなんてことにもなりかねないので注意が必要です。
ドッグフードを食べなくなることがある
手作りご飯のデメリットとしてドッグフードを食べてくれなくなるということもあげられます。
手作りご飯に限ったことではありませんが、ウェットフードばかり与えていたらドライフードを食べてくれなくなって困ったという話も良く聞きます。
美味しいものを与え続けるとどうしてもドライフードなどは食いつきが悪くなってしまうのです。
ドッグフードを食べなくなってしまっても手作りご飯を与えるから特に問題ないのでは?と思う飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、手作りご飯は災害時や急な外出などのときには作ることができません。
特に災害時にドッグフードを食べてくれないのは体力を大きく消耗する原因になります。
万が一何かあったときに備えてドッグフードも出されたら食べられるようにしておくと安心です。
作るのに手間がかかる
手作りご飯は毎回調理をしなくてはいけないので手間がかかります。
主婦の飼い主さんなら調理自体には慣れているかもしれませんが、家族の食事の準備の他に愛犬の手作りご飯も準備しなくてはいけないとなるとかなり大変なことかもしれません。
また、普段料理などをしない人にとっては最初のうちは野菜を切ったり、煮たりするのにも一苦労かもしれません。
それを毎日朝晩2回行わなくてはいけないとなるとかなり大きな負担になってしまう可能性があります。
手作りご飯を始めたけど結局作るのが大変で続かなかったという人は少なくないでしょう。
保存が効かない
手作りご飯は添加物や保存料が含まれていないことが愛犬の健康に良いということで紹介しましたが、一方で保存料が含まれていないので保存が効きません。
手作りご飯は作ったらすぐに与える必要があります。
そのため、毎回手作りしなくてはいけませんし、食材などもこまめに買いに行く必要があります。
また、ドッグフードなら災害時などに備えていくらか非常食として備えておくことができますが、手作りご飯は保存が効かないので非常食などとして準備しておくこともできません。
意外とお金がかかる
手作りご飯を与えるようになればドッグフードを買わなくて良くなるので金銭的にも余裕が生まれるのでは?と考える飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、手作りご飯は思った以上にお金がかかります。
食材をこまめに買いにいかなくてはいけませんし、お肉をメインとして作ることがほとんどですので食費はかなりかかります。
なるべく犬本来の食事に近づけてあげたいと考えている場合には生のお肉を使用することもあるかもしれません。
その場合には生食用の鮮度良いお肉を手に入れる必要があります。
食材にこだわるようになってくると市販のドッグフードを購入するよりもはるかに食費は高くなってしまうのです。
犬の手作りご飯を作るポイント
ここまで犬の手作りご飯のメリットとデメリットを紹介していきました。
メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解した上で実際に作ってみようと思った飼い主さんのために、どのようにして手作りしたら良いのかのポイントをいくつか紹介していこうと思います。
正しい手作りご飯のポイントを抑えておくことで愛犬の健康を維持しやすい献立を考えられるようになります。
野菜類は消化しやすいようにする
犬の手作りご飯で欠かせない食材といえば野菜類です。
どんな手作りご飯のレシピでも野菜類は豊富に使用されています。
しかし、犬はもともとお肉を主食として生きてきた動物のため、野菜のように食物繊維の多い食材の消化はあまり得意ではありません。
まるまる与えたり、茹でずに硬い状態のまま与えたりすると消化不良を引き起こして嘔吐や下痢の原因になることもあります。
野菜類を使用する際には消化しやすいようにしてあげる必要があります。
例えば、細かく切ったり、すりつぶして与えます。
また、野菜類は基本的には茹でて柔らかくして与えるのがおすすめです。
中には熱を加えることで栄養素が壊れてしまったり、流れ出てしまう食材もあります。
しかし、消化の観点から考えると熱を加えて与えると良いです。
例えば、トマトなどは加熱しなくても与えやすい食材ですが、加熱することでリコピンをより良く吸収できるようになると言われています。
ただし、ビタミンCは熱に弱く、加熱することによって壊れてしまうので、どの栄養素を摂取するためにトマトを与えるのかを考えながら調理法を決定すると良いでしょう。
味付けは行わない
手作りご飯を作っているとどうしても人間が美味しいと感じるような味付けをしてしまいかちです。
しかし、犬にとって人間が美味しいと感じる味付けは濃すぎたり、塩分の過剰摂取になってしまうことがあるのです。
基本的に犬の手作りご飯は味付けを行う必要はありません。
どうしても無味でかわいそうと感じる場合には鶏肉や昆布などから出汁をとってスープを加えてあげると良いです。
出汁をとったスープを加えることによって食いつきも良くなりますし、食事から水分を摂取することができます。
高齢犬やあまり水分を自分から摂取してくれないのような犬の場合には食事から水分を摂取できるようにしてあげることで、尿が正常に出るようになり体の中の老廃物を排出しやすくなります。
食材のバランスを考える
手作りご飯のデメリットとして栄養バランスが崩れてしまうとお話ししたと思います。
市販のドッグフードのように完璧な栄養バランスにすることはほぼ困難ですが、それでもしっかりと栄養バランスを考えて作るようにしてみてください。
もともと犬はお肉を主食としているので、まずはどんなお肉やお魚を使用するのかを考えます。
その後に野菜や海藻といった食材で栄養バランスを整えていくイメージで作っていくと良いかもしれません。
割合としては6割がお肉やお魚、残りの4割が野菜やその他の食材になるように作ってみると理想的な栄養バランスに近づくことができるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は犬の手作りご飯のメリットとデメリット、そして実際に手作りご飯を作る際に抑えておきたいポイントを紹介していきました。
健康に良いという理由から手作りご飯にする人は増えてきているものの、正しい方法で作らないといけないということやメリットだけでなくデメリットも存在しているということを理解していただくことができたと思います。
手作りご飯にしてから長年悩んでいた下痢が改善したという犬もいますし、アレルギーでも安心して与えられるようになったという飼い主さんもいます。
しかし、手作りご飯の大変さを考えると市販のドッグフードの上に手作りした食材をトッピングしてあげるのが良いのではないかと思います。
トッピングだったらそれほど手間もかかりませんし、ドッグフードも含まれているので栄養バランスも保たれます。
ぜひ、皆さんもトッピングからでもチャレンジしてみてください。