動物看護師が教える!ドッグフードの基本と給与量の落とし穴
犬の健康を左右する要因の一つとしてドッグフードの質があげられます。
ペットショップに行くとたくさんのドッグフードが並んでいますよね。
どれが愛犬に合っているのかよくわからないという飼い主さんも多いはずです。
今回はそんなドッグフードについて悩みを抱えている飼い主さんにために、ドッグフードの基本的な知識から正しい給与量はどれくらいなのかについて紹介していこうと思います。
もくじ
ドッグフードの種類
ドッグフードにはたくさんの種類がありますが、簡単に分けるとドライタイプとセミモイストタイプとウェットタイプの3つに分けることができます。
それぞれのドッグフードには良い点もあれば、欠点も存在しています。愛犬にはどのタイプが合っているのかを判断してみるようにしてみてくださいね。
ドライタイプ
ドライタイプは最も利用している人が多いドッグフードではないでしょうか?
ドライと言われている通り、水分の含まれている量が少ないのが特徴です。
大体10%前後しか水分は含まれていません。
ドライタイプは良く噛んでたべることや歯につきにくいことから、他のタイプのドッグフードに比べると歯周病などになりにくいと言われています。
また、水分量が少ないことで保存期間が比較的長いです。
一方で、他の種類のフードに比べると穀物が多く使用されている傾向にあります。
最近では穀物フリーのドライフードも販売されているのでアレルギーなどがある場合には、穀物フリーを選ぶと良いでしょう。
セミモイストタイプ
セミモイストタイプは半生と言われているドッグフードです。
水分量は25%~35%くらいだと言われています。もちもちとした食感がお肉に似ているため、ドライタイプを食べない犬でも好んで食べてくれることがあります。
しかし、ドライフードに比べると歯につきやすいことや水分量が多いことから保存期間が短くなってしまうことが欠点と言えるでしょう。
また、セミモイスト特有のもちもちとした食感を出すために使用されている合成化合物は犬の健康にとってはあまり良くないとも言われています。
ウェットタイプ
ウェットタイプは水分量が80%程度を占めているフードのことで、香りや風味などが強いため犬の食いつきは一番良いと言えるでしょう。
一方で、歯につきやすいため歯のケアを行ってあげる必要があります。また、保存期間もとても短くなります。
基本的にウェットタイプは開封してしまったらその日のうちに使用しなくてはいけません。
何日も置いておくと菌が増殖するので注意してください。
また、ウェットタイプは水分量が多いので必要なエネルギーを摂取するのにたくさんの量を食べなくてはいけません。
ドライタイプなどに比べるとコストがかかります。
犬の健康を維持できるドッグフードの選び方
犬のドッグフードにはたくさんの種類があり、それぞれに良い点もあれば欠点もあるということが理解していただけたかと思います。
では、実際にドッグフードを選ぶ際にはどのようなことを確認したら良いのかを説明していこうと思います。
愛犬のドッグフード選びで悩んでいる人はぜひ、参考にしてみてくださいね。
犬に必要な栄養素を含んでいる
ドッグフードは犬にとって重要なエネルギーや栄養源ですから、犬に必要な栄養素をしっかり含んでいるものを選ぶようにしましょう。
犬が必要としている栄養の大部分を占めているのが以下の3つです。
・タンパク質
・脂質
・炭水化物
タンパク質は人間よりも多くの量が必要だと言われています。特にタンパク質の中でも動物性のものが必要不可欠です。
犬はもともと肉食の生き物ですから、お肉などの動物性タンパク質が健康を維持する上で欠かせないのです。
ドッグフードを選ぶときには動物性のタンパク質が60%程度含まれているかを確認しましょう。
次に脂質も犬にとっては欠かせない栄養素です。
肥満になってしまうからあまり与えたくないと思う飼い主さんもいるかもしれませんが、活動するためのエネルギー源として脂質は欠かせないのです。
脂質の中でも必須脂肪酸と呼ばれているものは体内で生成することのできない脂肪酸なので食事から摂取しなくてはいけません。
必須脂肪酸は皮膚や被毛の健康維持に欠かせません。
最近、毛艶があまり良くないなという場合には必須脂肪酸が不足しているのかもしれませんその他にも免疫力のアップなどにも効果があると言われています。
必須脂肪酸は亜麻仁油などから摂取できるのでいつも与えているフードに不足している場合には小さじ1杯程度追加してあげると良いでしょう。
炭水化物は犬には必要ないと聞いたことがある人もいるかもしれませんが、栄養の吸収を効率よく行うためには欠かせない栄養素なのです。
ドッグフードに使用されている食材の中で炭水化物が豊富なのはとうもろこしや大麦といったものになります。
炭水化物はドッグフードの10%程度含まれていると良いでしょう。
原材料の確認は必須
ドッグフードを選ぶ上で欠かさずに行って欲しいことが原材料を確認することです。
原材料は最初に書いている食材ほどたくさん使用されています。
ドッグフードのパッケージの裏面に原材料が記載された項目が必ずありますので、最初にお肉などの食材が書かれているものを選ぶようにすると良いです。
安いものだと穀物が一番最初に書かれているものもあります。
犬は動物性のタンパク質が最も必要というお話しをしましたので、チキンやビーフといったものが最初に来るものが栄養をしっかり摂取できるドッグフードと言えます。
また、お肉が一番最初に書かれていたとしても肉類などと具体的なお肉の種類が書かれていない場合には注意が必要かもしれません。
本来は捨てるような4Dミートといったお肉を使用している可能性もあります。
健康を損なう添加物もある
ドッグフードの原材料を確認したら、添加物も確認するようにしましょう。
保存期間を長くしたり、風味を良くするために香料や保存料などの添加物が加えられていることがあります。
添加物の中でも酸化防止剤として使用されることのあるエトキシキンやBHT、BHAと呼ばれる化学添加物が使用されていることがあります。
エトキシキンなどの添加物は健康を損なってしまう危険性のある添加物ですので、使用していないドッグフードを選ぶようにするのが安心です。
値段にも注意しよう
ドッグフードはとても高いものから安いものまで価格の幅は大きいと思います。
高ければ良いとも限りませんが、安すぎるものには注意したほうが良いかもしれません。
複数の犬を飼っている場合や、大型犬などを飼っている場合にはなるべく食費は抑えたいところだと思います。
しかし、安すぎるドッグフードには粗悪なお肉が使用されていたり、添加物がたくさん使用されている可能性があります。
犬の食いつきを良くするための香料をたくさん加えていたり、お肉といっても毛や糞尿といったものも一緒に使用していることすらあるのです。
高級なものを与えなくてはいけないとは言いませんが、あまりにも安いドッグフードには注意をするようにしてください。
安いドッグフードにはそれなりの理由があるのです。
総合栄養食がおすすめ
ドッグフード選びで困っている人は総合栄養食と記載があるものを購入してみるのがおすすめです。
総合栄養食はお水とドッグフードさえ与えていれば健康に生きていくことができるドッグフードのことを言います。
ドッグフードに含まれている栄養素などが基準値を満たしていない限り、総合栄養食と記載することはできません。
つまり、総合栄養食を選ぶことによって愛犬に必要な栄養素をドッグフードだけで摂取することができるということなのです。
病気などがある犬には療法食
ドッグフードの中には療法食というものがあります。
療法食は病気の治療を目的としたドッグフードです。
肥満によって心臓への負担が大きくなってしまっている場合などには痩せなくてはいけません。
心臓に負担がかかることで命の危険もありますので、減量用の療法食を使用してダイエットを行うことがあります。
その他にも腎臓に疾患を持っている犬などの場合にはリンの量をなるべく少なくした療法食などもあります。
療法食はペットショップなどで購入することもできますが、基本的には獣医師の指導の元で与える必要がありますので、病気などがない場合には使用することはないと思います。
ただ、愛犬がいつ病気になってもおかしくないですので療法食という選択肢があることを知っておくのはとても重要なことです。
食事は健康に直結するものですので、療法食にすることによって病気の治療にも役に立つということを覚えておくと良いでしょう。
ドッグフードの正しい給与量とは
ドッグフードを与えるとき、どれくらいあげるかというのは何を目安にして決めているでしょうか?
おそらく多くの飼い主さんがドッグフードのパッケージに記載してある給与量の目安というものを見て決めていると思います。
しかし、パッケージの給与量には思わぬ落とし穴があるということを知っておかなくてはいけません。
パッケージの給与量の落とし穴
パッケージの給与量は基本的に年齢と体重で目安を出していますよね。
しかし、本当に年齢と体重だけで給与量を決定して良いのでしょうか?
例えば、同じ犬種で同じ体重の犬がいたとします。
片方の犬は運動が大好きで毎日たくさんお散歩をしたり、運動をします。
一方で、もう片方の犬は運動が嫌いでおうちでまったり過ごすのが日課だとしましょう。
このように運動量が全く違うのにパッケージの給与量を目安にすると同じ量のドッグフードを食べることになります。
当たり前ですが、運動が嫌いな犬のほうが肥満になってしまう可能性が高いですよね。
給与量を守っているはずなのに肥満になってしまうのです。
これがパッケージの給与量を目安にすることの落とし穴なのです。
また、パッケージの給与量は年齢と体重で決定していますので、体重が増えれば増えるほど給与量も増えることになります。
つまり、肥満になって体重が増えるとたくさんドッグフードを食べられるようになるということです。
犬にとっては嬉しいことかもしれませんが、どんどん肥満になってしまう負のループにはまってしまう危険性があるのです。
個体に合わせた量を与える
パッケージの給与量には落とし穴があるということがわかりましたね。
では、何を参考にしてドッグフードの量を決めればいいの?と困ってしまう飼い主さんも多いと思います。
適切なドッグフードの量は年齢や体重だけでなく活動量なども加味して決定しなくてはいけませんので、計算の仕方を紹介していきます。
犬のドッグフードの量は1日あたりどのくらいのエネルギーが必要かで算出していきます。
そのためには、まず安静時にどのくらいのエネルギーを消費しているのかを出さなくてはいけません。
1、犬の体重を3乗する。(例えば、5キロの犬なら5×5×5)
2、出てきた値に2回√(ルート)する。
3、最後に70をかける。
これで安静時のエネルギーを出すことができます。
その後、犬の活動量などに応じて決まった係数がありますので掛け算してきます。
決まった係数は下記のようになります。
活発な犬:1.6
肥満の犬:1.4
減量したいとき:1.0
子犬などの成長期:2.5
愛犬に当てはまる係数を選んで掛け算をすると1日あたりどのくらいのエネルギーが必要なのかを算出することができます。
あとは1日に必要なエネルギーをドッグフードのカロリーで割って100倍すれば、何gのドッグフードを与えるべきなのかを計算することができます。
ドッグフードの量(g)=(1日に必要なエネルギー)÷(ドッグフード100gあたりのカロリー)×100
このようにして犬の活動量なども加味して給与量を決めることによって太ってしまったり、痩せてしまうといったことを防ぐことができるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ドッグフードの基本的な知識から正しい給与量の算出の仕方まで解説していきました。
ドッグフードについてしっかり学んでおくことは愛犬の健康を維持する上で飼い主さんがすべきことの一つであることに間違いありません。
この記事を読んでドッグフードの選び方がいつもと変わったり、給与量を改めて計算し直してみたら多過ぎていたなどと気づく機会になれば嬉しいです。