動物看護師が解説!犬の体温をはかることの重要性とはかり方

 

普段から愛犬の体温をはかるようにしているという飼い主さんは少ないのではないでしょうか?

犬の体温をはかることで体調の変化に早く気づくことができるかもしれません。

今回はそんな犬の体温をはかることの重要性と体温計を使った体温のはかり方を紹介していこうと思います。

犬を飼っている人やこれから飼いたいと思っている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

犬の体温をはかることの重要性

犬の体温を動物病院でははかってもらったことがあるけど、自分でははかったことがないし、体温をはかることがそんなに重要なのかもわからないという飼い主さんがほとんどだと思います。

この章では犬の体温をはかることの重要性や理由について紹介していこうと思います。

 

体調の変化を早期に発見できる

 

動物病院に行くと、かなりの頻度で体温をはかると思いませんか?

実は犬の体調が良いか悪いかの判断を体温をはかることによって行っているのです。

犬は言葉を話すことができませんから、飼い主さんが気づいていないだけでとても体調が悪い可能性だってあるのです。

見た目ではわからない体調の変化を体温から知ることで適切な治療や処置ができるようになるのです。

自宅でも、「なんだか元気がないように見えるけど気のせいかな・・・」と病院に行くか迷ってしまうことありませんか?

そんなときに体温をはかれるようになっておけば、数値から本当に体調が悪いのか、少し元気がないだけなのかが判断しやすくなります。

 

体温をはかることに抵抗を感じにくくなる

 

犬の体温は肛門に体温計の先端を入れてはかるのが普通です。

肛門に何かを入れられるのは人間でも嫌ですよね。

日常的に体温計を使用して体温をはかることに慣れておけば、どうしても体温をはからなくてはいけないというときでもスムーズに体温がはかれるようになります。

特に体調が悪いときに体温をはかることに抵抗を感じて興奮してしまったら、余計体調が悪化してしまうかもしれませんよね。

いざというときのために体温をはかることに慣れておくのは役に立つのです。

 

平熱を知ることができる

 

体温をはかることで体調の変化を知ることができると言いましたが、平熱を知っておかなければはかった体温が愛犬にとって正常な数値なのか、それともいつもとは違った数値なのか判断ができませんよね。

日頃から体温をはかるようにしておけば、愛犬の平熱がどれくらいなのかを把握することができます。

体温は犬によって多少の違いがありますから、平熱を知っておくことは健康を管理する上で非常に重要なのです。

 

犬の体温の基礎知識

犬の体温をはかることの重要性や理由について理解していただけたかと思います。

では、犬の体温に関する知識はどのくらい持っているでしょうか?

しっかりと知識を持っていないと体温をはかっても正常なのか、それとも異常があるのかはわかりませんよね。この章では犬の体温についての基礎知識をわかりやすく紹介していこうと思います。

体温をはかることにチャレンジしてみようと思っている人は、まずは基礎知識を理解してみてくださいね。

 

犬の体温は人間よりも高い

 

正常な犬の体温はどれくらいか知っているでしょうか?

犬の正常な体温は38.5~39.5℃くらいだと言われています。

何も知らずに愛犬の体温をはかっていたら「高熱がある!」と焦ってしまうかもしれませんよね。

犬の体温は人間に比べるとかなり高くなっているのです。

そのため、熱があると言われる体温は40℃近くになったらということになります。

 

犬の体温が高くなってしまうのは病原菌などが体に入ってしまったときや感染症にかかっているときなどがあげられます。

また、夏場に多い熱中症でも体温が高くなると言われています。

 

このように何か体に異常があるときに犬の体温は高くなることがありますが、実は健康であっても犬の体温が高くなってしまうことはよくあることなのです。

例えば、他の犬に会って興奮しているときや運動した後などは安静にしているときよりも多少体温が上がります。

そのため、元気であっても39.5℃を上回ることがあるのです。

興奮しただけで体温が上がってしまうことがある犬ですが、体温が低いというのはかなり危険だと言われています。

38℃を下回るようなことがあった場合には何かしら体に異常があると判断して良いでしょう。

もし、自宅で体温をはかって低温だった場合には獣医さんに相談してみるのが安心です。

犬の体温が低くなってしまう原因としては単に寒いことや体が濡れてしまったなども挙げられますが、甲状腺の機能がうまく働かなくなってしまう病気や腎臓の機能が働かなくなってしまい、体の中にある毒が腎臓の働きによって排出されなくなってしまい体の中に溜まってしまう病気などが原因としてあげられます。

 

体温がいつもよりも低くて元気がない場合などには体を温めることや室内の温度を高くすることも間違ってはいないことですが、体温が低い状態というのは命の危険すらありますので、自分でどうにかしようとせず動物病院へ行くようにするのが愛犬を救う最も良い方法だと言えるでしょう。

 

年齢や体格によって多少の誤差がある

 

犬の体温は38.5~39.5℃くらいが正常であるとお話ししましたが、年齢や体格によっても多少変わってくると言われています。年齢に関しては若いほど体温は高く、年齢を重ねるにつれて体温は下がってきます。

 

体格に関しては体が小さい方が体温は高く、大きくなるにつれて低くなってくると言われています。しかし、年齢や体格で体温の差があるといってもわずかなものですから、基本的には38.5~39.5℃くらいであれば問題ないという認識で良いでしょう。

 

また、個体によっても多少の誤差がありますので、愛犬の平熱がどれくらいなのかを把握しておくことが重要になってきます。人間でも体温が低い人もいれば、高い人もいますよね。犬も同じだということですね。

犬の体温のはかり方

犬の体温についての基本的な知識も理解したところで、実際に犬の体温のはかり方を紹介していこうと思います。人間の体温をはかるのとは全く違った方法になりますので、正しい方法を理解するようにしてみてください。これから紹介する方法は動物病院などで獣医師や動物看護師も実際に行っている方法ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

準備すべきもの

 

まずは準備しなくてはいけないものを紹介していきましょう。

 

・犬用の体温計

・体温計プローブカバー

・ワセリンなど

 

犬の体温をはかるには犬用の体温計を準備しましょう。基本的に肛門に差し込んで体温をはかるので人間用の体温計とは別で準備した方が良いです。

 

また、人間用の体温計の場合には先端が硬いので差し込んだ際に粘膜などを傷つけてしまう危険性があるので犬用のものを準備しましょう。

 

犬用の体温計は人間用の体温計に比べると、肛門に差し込む分先端が細くなっていたり、長くなっているものが多いです。最近では、非接触型の犬用体温計も販売されているようですが、正しくはかれないことも多いようなので肛門に差し込むタイプを使用するのがおすすめです。

 

体温計プローブカバーは肛門に挿入する部分に被せて、そのまま体温をはかることができるカバーです。体温計を使い回しすることがない場合には準備する必要はないと思います。

 

しかし、多頭飼いなどで使い回す場合には感染症なども起こる可能性があるので準備しておいても良いでしょう.

動物病院などではたくさんの犬の体温をはかるため使用していることがほとんどですが、使用した後にしっかりと拭き取ったり、消毒をしていればプローブカバーはなくても問題ないと思います。

 

ワセリンは肛門に挿入する際にスムーズに入れられるようにする役割と粘膜を保護する役割があります。ワセリンを使用することによって犬への負担も軽減されますので、用意しておくと良いです。

専用のジェルなども販売されていますが、ワセリンでも構いません。

 

お尻を傷つけないようにはかる

 

それでは、実際にどのようにしてはかったら良いのかを説明していきます。

はかるときに頭に入れておいて欲しいことは、体温計を肛門に挿入することで粘膜などを傷つけないように注意することです。

まずは、犬を立たせた状態にします。

体温計を挿入しない方の手でしっぽを持ち、軽く上に持ち上げておきます。

こうすることによって座り込んでしまうのを防ぎます。無理に引っ張ったりしないようにしてくださいね。

体温計にカバーやワセリンなどをつけて肛門に挿入します。

このときに、入らないからといって強く押し込んではいけません。

入らない場合には体温計の角度を少し変えてみてください。

必ず、どこかでスッと入る場所が見つかるはずです。

犬の肛門は真っ直ぐではないので角度を変えることで入るようになるのです。

無理に押し込むと粘膜を傷つけてしまう危険性があります。

体温計を挿入するのは先端の2~3センチ程度で構いません。

奥まで挿入することで違和感をを感じたり、拒絶してしまうこともありますので注意が必要です。

うまく挿入することができたら、体温の計測が終わるまでじっと待ちましょう。

 

落ち着いているときにはかる

 

体温のはかり方が理解できたと思います。

ここからはいつはかるべきなのかについてお話ししていきましょう。

先ほども少し触れましたが、犬は興奮しているときなどには体温が上昇してしまうことがあります。

そのため、基本的には安静時に体温をはかるようにすると良いです。

また、1日の中でも体温は多少前後すると言われています。

1日の中で朝起きたときには体温は最も低くなっています。

そして、だんだん体温は上昇し、夕方が1日の中で最も体温が高いと言われています。

そのため、朝と夕方の安静時の体温をはかるようにしておくとより正確な平熱を知ることができるかもしれません。

1日に何度もはかるのが大変という場合には、決まった時間の安静時の体温をはかるようにするので問題ないでしょう。

また、毎日体温をはかり続ける必要もありません。

何日かはかってみて大体平熱がどれくらいかわかったら、体調が悪そうかな?というときだけはかってみるようにすれば良いでしょう。

もちろん、愛犬が体温をはかるのに全くストレスを感じないという場合や、しっかり体調管理したいという場合には毎日の習慣にしてみても良いかもしれませんが、そこまできっちりやらなくても大丈夫だということを知っておきましょう。

 

どうしてもはかれないときには

 

今回紹介した方法で体温をはかることにチャレンジしてみたけど、どうしてもはかることができなかったという飼い主さんもきっといるはずです。

無理に体温をはかろうとすると怪我をしてしまう危険性もありますし、愛犬との関係性を壊してしまう可能性もあります。

そこまで無理をしてはかる必要はありません。

それでも、愛犬の体温をなんとかして知りたいという場合には体温計を使用しない方法を紹介しておきます。

人間は熱があるかを確認するときにおでこに触ったり、耳を触ったりして確認しますよね。

犬も同様にして熱があるかどうかを確認することができます。

ただし、犬の場合は脇の下や耳、そしてお腹などを触って確認します。

正確な体温まではわかりませんが、なんとなく熱があるかないかの判断はできるようになります。

この判断をできるようになるためには日頃から体に触れて、どれくらいの温かさであるかをかんじておくことが重要です。

いつもよりも熱を持っているような感じかするといった飼い主さんの感覚はときにとても重要な情報になることがあるのです。

ぜひ、普段から愛犬とのスキンシップを忘れずにとってみてください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は犬の体温をはかることの重要性や体温計を使用した体温のはかり方について紹介していきました。なかなか体温をはかって健康管理をしているという飼い主さんは少ないと思いますが、体温をはかることで体調の異変に早くに気づくことができ、適切な治療を受けさせることができるようになるかもしれません。犬の体温をはかることはやり方さえ知っておけばさほど難しいものではありません。

肛門や粘膜を傷つけないように慎重に行うことを心掛けてチャレンジしてみてください。

また、日々のスキンシップなども単に楽しむだけでなく、体温がいつもより高すぎないかや体に異常がないかなどの健康チェックの時間として活用することで愛犬の健康維持に繋がってきます。