玄関チャイムの無駄吠えを解消する簡単なしつけ方

 

玄関チャイムが鳴るたびに、けたたましく吠える愛犬の問題行動にお困りではありませんか?

何度叱っても効果がない、色々なしつけ手法を試しても改善しないとそのお悩みは周囲が感じる以上に深刻です。

特にマンションなど近隣との騒音が気になる環境ではなおのことでしょう。

今回はこの問題行動がなぜ治らないのか、どうすれば治るのかについて詳しくご説明させていただきます。

 

■どうして玄関チャイムに吠えるの?

まさかうちの愛犬が・・・と玄関チャイムに吠える様子を見ながら、複雑な気持ちになったことはありませんか?

これまでに屋内で吠える犬の声を聴いたり、テレビでこのような問題を見聞きしたり、知人の家でこのような場面に遭遇したことはあったものの、いざ自分が犬を飼い始める時、まさか我が家の愛犬も同じ問題を抱えることになるとは想像もしていなかったという方は少なくありません。

これまで目にしてきた問題行動の様子は、きっと特定の家だから、飼い主のしつけの仕方に問題があったからと受け止めたいたことでしょう。

でも犬に目を向け考えてみると、玄関チャイムに吠えることは決して異常な行動ではありません。

犬本来の習性から考えると、当然起こるべき行動です。

つまり玄関チャイムに吠えることは、誰にでも、どこの家でも起こりうる共通の課題と捉えてみてください。

 

子犬の頃は吠えなかったのに、どうして突然?

 

生後数か月でペットショップから購入した時、里親になり保護団体から引き取った直後は玄関チャイムに鳴くことの無かった愛犬が、ある日突然激しく吠えるようになったということはありませんか?

家族は一体何が問題だったのか?

どうすれば治るのか?

いつまでこの行動が続くのか?

不安を抱え色々な事を思い悩んでしまいます。実はこの家族には理解不能なタイミングで開始したことも、犬の習性から考えるとごく自然な行動です。

必ずしも家族に何か原因があったわけではないので、改善に向けて前向きに取り組んでゆきましょう。

 

■玄関チャイムに吠えるのは、愛犬の防衛本能の現れ

犬は本来同種の群れで暮らす習性があります。

群れの中には生後間もない子犬もいれば、年老いて体が弱った犬もいます。同じ群れで暮らすもの同士で助け合い、敵から自分達を守り暮らしています。

この群れにとって自分達の縄張りはとても大切な意味があります。

縄張りとはつまり、安全圏でもあります。

安全圏にいる間は敵からの攻撃を受ける危険もなく、リラックスして過ごすことができます。

縄張りの中にいる存在はお互いが信頼できる大切な存在です。

ペットとなり家族と室内で一緒に暮らすようになった犬にとって、群れの仲間とは家族のことを意味し、縄張りとは家の中を意味します。

つまり、玄関チャイムがなり、他人が家に入ってくる素振りを見せるということは、自分の守るべき安全圏に群れのメンバー以外の存在が侵入するという意味です。

当然、犬は身を挺してでも家族、縄張りを死守しなければと考えます。この行動が玄関チャイムに吠えるという行動になって現れます。

玄関チャイムは敵の侵入を知らせるサインです。

玄関チャイムが鳴り、姿を現す存在は家族ではありません。

宅配便など大きな荷物を持っていることに不信感を抱きます。

家族とは違う洋服をきていたり、これまでに嗅いだことのない臭いがすることもあるでしょう。

何より、玄関チャイムがなると、それまでくつろぎ過ごしていた家族が慌ただしく立ち上がり、声を出し、玄関まで駆け付けます。

犬はこのような家族の様子からも、縄張りの中で何か異変が起きたと感づきます。

玄関チャイムに鳴った途端に犬が激しく吠えたてるのは、犬なりの正義感で家族を守ろうと考え行動している結果です。

 

本能から起こる行動でも放任はNG

 

ここまで読み進めてみると、玄関チャイムに吠える愛犬の行動が決して悪意のあるものではないことがわかります。

でもたとえ悪意が無い行動でも、一緒に暮らす家族や周囲に不快な思いをさせる行為は放任することはできません。

人間と一緒に暮らす以上は、人間社会のルールを愛犬が身に着けなければなりません。

玄関チャイムに吠えてしまう愛犬には、吠える必要がないということ、吠える代わりにどのような行動を取るべきかを家族が教えることが必要です。

このような考えを理解したうえで、愛犬のしつけに取り組むと、家族も無暗に苛立つこともなく、前向きにしつけに取り組むことができます。

 

■玄関チャイムに吠えてしまう時、家族の対応は?

 

玄関チャイムに愛犬がけたたましく吠えた時、家族はどんな反応を見せていますか?

実は家族の対応の仕方も愛犬のしつけの成功具合に大きく関係します。

例えば

 

・無視をする

・厳しく低い声で叱る

・愛犬が覚えるほどに叱り、追い詰める

・抱っこをする

・愛犬のお尻を叩く

 

このような行動を取っていませんか?

中にはさほど意識しないまでも「うるさい」「ダメ」という言葉で叱っている方もいるでしょう。

玄関タイムに吠えている犬にこのような対処をすると、問題は増々悪化します。

これからはまず家族の対応方も見直してゆきましょう。

 

「うるさい」「ダメ」という言葉に効果が無い理由は?

 

これまでも何度も愛犬を叱ったものの、まるで効果ないと感じた時、叱り方が甘いのではと考えたことはありませんか?

子供が叱っても効果が無いからと考え、大人がより厳しい声で叱ったことはありませんか?

実はこの「うるさい」「ダメ」という言葉を使っている限り、玄関チャイムの無駄吠えを解消することはできません。

それは子供だから、女性だから、犬のしつけに慣れていないからではありません。そもそも犬が「うるさい」「ダメ」という言葉の意味を理解していないからです。

愛犬に

 

・おいで

・お座り

・散歩

・待て

・ご飯

 

などの言葉をかけてみてください。愛犬は言葉の意味を理解しているので、嬉しそうな表情を見せたり、大喜びで駆け回ることもあるでしょう。

犬はきちんと人間の言葉を理解することができます。

お座りという言葉を聞けば、直後に自分がどんな行動をすべきか愛犬は理解できています。

でも「うるさい」と言われた時に愛犬はどんな行動を取るべきかわかりません。

愛犬がわかるのは、家族が本気で怒っているということだけです。

どうしたらいいのかわからない、愛犬がパニックを起こしていると、家族のイライラは増々大きくなり、叱る声は低くなり、表情も怖くなってゆきます。

こうなると愛犬は家族へすり寄ることもできず、ますますパニックを起こします。

なぜ愛犬がこのような状況に陥ってしまうのかを考えてみると、これまでの日常生活の中で愛犬に「うるさい」と言われた時に、どのような行動を取るべきか家族が教えてこなかったことが原因です。

犬をしつける時は、犬が理解している言葉、知っている言葉を用いなければ効果はあらわれません。

 

■玄関で吠えている愛犬に何をして欲しい?簡単しつけ法

 

玄関でけたたましく吠えている愛犬の行動を出来る限り早く解消するには、家族が愛犬にどんな行動を取って欲しいのかをはっきりと伝えることが必要です。

例えば

 

・玄関から離れ、家族の傍に来て欲しい

・自分のハウスに入り、静かに伏せていて欲しい

・いつも過ごしているソファに座っていて欲しい

 

つまり玄関から離れた場所で、静かに待機して欲しいはずです。

家族がこのように思っているということは「うるさい」や「ダメ」という単語では愛犬に伝わりません。

人間同士でも相手の気持ちを言葉もないままに想像し、100%理解するのは難しいのですから、相手は犬ならばなおさら難易度が上がります。

愛犬に自分の想いを伝えるには、言葉が必ず必要です。

例えば、玄関で吠えている愛犬に

 

オイデ

オヤツだよ

 

と声をかけてみましょう。

もちろんこの時、家族はいつも通りの優しい声で、玄関から離れた場所にいることも前提条件です。

オヤツという言葉に反応しない愛犬には、オヤツの袋をガサガサと鳴らす音を聞かせたり、普段からオヤツをタッパーに入れていき、タッパーの音でオヤツであることを気付かせます。

玄関で吠えること以外に愛犬の関心を向けることで、吠えるのではなく別の行動へと誘導をします。

この方法なら、これまでの様に愛犬を叱る必要はありません。

 

■オヤツは床にばら撒き与えると時間稼ぎの効果アップ

 

オヤツという言葉につられ、玄関から離れオヤツを期待している愛犬のオヤツを与える時、いつものように1粒ずつ丁寧に与える必要はありません。

何しろ家族は玄関に来客があり、すぐにでも応対に出たいのですから、いつまでも愛犬につきっきりではいられません。

このタイミングでオヤツを与える時は、数粒を床にバラバラニまき散らしてみてください。

床にまかれたオヤツを愛犬が1粒ずつ拾い集めている間に家族はそっとドアを閉め、玄関へ応対に出ましょう。

 

いつものフードでももちろんOK

 

このように愛犬の意識を反らすために用いるオヤツはジャーキーやクッキーといったいわゆる犬用オヤツでなくても問題ありません。

愛犬がいつも食べているドッグフードで十分です。

ドッグフードはそれぞれの犬の体重を目安に1日の給与量が決められています。

犬の習性上、人間の様に1日3回に分けて食事をする必要はないので、1日量を主食として与える分とオヤツとして活用する分とで使い分けてOKです。

この方法ならあえてオヤツを買い置きする必要がないうえに、オヤツの与えすぎで愛犬が肥満になってしまう心配もありません。

 

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サークル内にオヤツばら撒きでさらに時間稼ぎに

玄関から呼び寄せたものの、一瞬でオヤツを食べきってしまうという愛犬には、サークルを活用しましょう。

愛犬を家族の傍まで呼び寄せた後で、オヤツをサークルの中にばら撒きます。

愛犬がオヤツを追いかけ、サークルに入ったら即座にサークル出入口の扉を閉めます。

この方法なら愛犬を無理にサークルへ押し込む必要がないうえに、家族の愛犬に急かされることなく玄関で応対を済ませることができます。

サークルの設置が難しい場合は、クレートでも十分代用が可能です。

ただこの方法は何度か繰り返すうちに愛犬に仕組みがばれてしまうので、日ごろから食事の食器をサークル内に置いたり、夜はサークルで寝るようにしつけることも併せて行ってください。

 

抱っこで天井からのサークルでいるは無意味

 

小型犬の場合、サークルへの出入りを家族の抱っこで行うこともあります。でもしつけの面からみると、この習慣は早急な改善が必要です。

なぜなら抱っこで出入りすることは、愛犬の意思ではないからです。

何度も繰り返すうちに、愛犬は抱っこされることで家族に拘束され、自由が奪われると警戒するようになります。家族にオイデと呼ばれるも無視をする、家族から逃げる、吠える、攻撃するようになるでしょう。

これでは玄関チャイムに吠えることを解消するという当初の問題とは別の問題が増えることになります。

しつけは愛犬自身に理解させ、自分の意思で行動させることに意味があります。

決して一回でスムーズに習得できる手法ではありませんが、繰り返し教えることで必ず理解できるので、根気よく愛犬に付き合ってゆきましょう。

 

■玄関での興奮は思わぬ事故に!玄関は立ち入り禁止が基本

玄関チャイムに吠える犬は、すでに過度な興奮状態にあり、家族の声も全く耳に届いていないという状態です。

この状態で玄関が開き、来訪者があるとその瞬間に愛犬が屋外へ脱走してしまう危険があります。

決して愛犬自身が脱走を計画していたわけではなく、家族が叱っている様子を察知し逃げよう、捕まらないようにしよう、訪問者を撃退しようと単純に考えているにすぎません。

ただ興奮状態で屋外に出てしまった犬は思いもよらぬ行動を取ります。

交通事故も巻き込まれたり、偶然通りかかった通行人とトラブルになることもあり得ます。

もちろん来訪者や宅配便の配達員の方の中には犬が苦手と感じている方もいるでしょう。

愛犬が玄関チャイムに吠えてしまう問題をしつけで解消するには、数か月、数年とかかることもあります。

以前より軽減はできたものの、完全に吠えない、反応しないというレベルにまで達するのは相当に困難なことです。

もしもの事故に備え、玄関チャイムに興奮してしまう愛犬と暮らすご家庭では、玄関前に犬用ゲートなどを設置し、愛犬が玄関に近づかないよう安全策を講じておいてください。

 

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大谷 幸代

■保有資格

・愛玩動物飼養管理士
・トリマー
・トレーナー
・アロマセラピスト
・ホリスティックケアカウンセラー
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