猫の盗み食いを止めさせる方法

 

知らない間にゴミ箱が漁られた!」「買い置きのパンをかじられた!」「取っておいた残り物を食べられた!」など、飼い猫の盗み食いに驚かされ、悩む飼い主さんも多いと思います。

特に、猫を飼い始めて日が浅い飼い主さんにとっては、猫の盗み食いをどう防げばよいのかわからず、頭を悩ませておられるのではないでしょうか。

でも、猫は盗み食いするものだし、怒っても仕方ない」と諦めて何も対策しないままだと、猫を危険に晒すことになってしまいます。

そこで今回は、猫の盗み食いを防ぐ方法と、盗み食いをさせてしまうことのリスクについて、ご紹介したいと思います。

 

 

■盗み食いのパターン

〇台所の食品を漁る

 

台所には、出来上がった料理を入れっぱなしの鍋やフライパン、買い置きしてある乾物など、猫にとって魅力的なニオイを発する食べ物がたくさんあります。

また、買い物をして冷蔵庫や冷凍庫に保管する前に、台所にほんの短い間、放置しただけでも、盗み食いをする癖のある猫はそのわずかな時間でさえ、見逃しません。

 

〇残飯を漁る

 

食事の際に出る生ごみや残飯はもちろん、魚を捌いた後の内臓や頭、尻尾などが入った三角コーナーなども、猫にとっては魅力的な「獲物」です。

 

〇食卓の上の食べ物を狙う

 

食卓の上に残ったままの残飯も、家族が目を離したほんのわずかな時間に、食卓の上に飛びのって、あっと言う間にかっさらい、そのまま、狭い隙間などに逃げ込みます。

しかも、いつも盗み食いをするのではなく、自分が興味のない食べ物が食卓に乗っていたら見向きもしません。

 

〇ゴミ箱を漁る

 

飼い主さんが起きて、活動している昼間ではなく、留守中や就寝中に狙われることが多いのが、「ゴミ箱」です。

生ごみを入れるゴミ箱はもちろん、リビングや子供部屋などに、コンビニの空袋などを捨てる場合は、例え、生ごみが入っていなくても、猫のターゲットになり得ます。

 

■猫が盗み食いをする理由 3つ

〇好奇心に駆られるから

 

猫は、憶病で警戒心が強い割に、好奇心も強い動物です。見たことのない物を見れば、怖いけれど、近づきたい…そんな欲求に駆られるからこそ、私たちがねこじゃらしなどの

おもちゃで誘うと、成猫になっても無邪気に遊んでくれるのです。

けれども、その好奇心の強さゆえに、飼い主さんが食べているものや、自分が与えられている食べ物以外の存在を知ってしまうと、それがどんな味なのかを試してみたくなり、その衝動が盗み食いという行動に顕れてしまいます。

 

〇空腹への恐怖を感じたくないから

 

保護猫だったり、もともと野良猫だった経歴を持つ猫は、飼い主さんの家に迎え入れられるまで、自分で食料を得ていたはずです。

その時、食料が捕れなかったりして、何日も何も食べれなかった経験もしていたこともあったでしょう。

きちんと食事を与えられているにも関らず、「もう、ごはんが貰えなかったらどうしよう」という不安から、自分で食べ物を得るために盗み食いをするのかも知れません。

 

〇狩猟本能を満たしたいから

 

空腹でなくても、長い年月、人と一緒に暮らしていても、猫の狩猟本能が消えることはありません。

飼い主さんの目を盗んで、身を潜めて獲物である「残飯」に近づき、それを掠みとって食べることは、猫にとってとてもスリリングな冒険です。

つまり、猫にとっての盗み食いとは、身を潜めて獲物を狙い定めて襲い掛かったりする狩りをしている感覚になることで、本能から来る欲求を満たすための「遊び」なのです。

 

 

■盗み食いをするリスク

〇食中毒を起こすリスク

 

猫と人間は、同じ哺乳類であり、口から摂取した食べ物を胃や腸で消化、栄養を吸収し、不要なものは大便や尿となって排出する、というメカニズムは変わりありません。

けれども、細胞レベルで猫と人間の体の作りは全く違います。

例えば、私たち人間はネギ科の食べ物を食べても、それが新鮮であれば、生で食べようと、加熱しようと、食中毒を起こすことはありません。

なぜなら、私たち人間は、進化の過程でネギ科に含まれている「アリルプロピルジスルファイド」「ジアリルジスルフィド」という物質に対して、血液中に抗体物質を持っているからです。

この二つの物質は、血液中の赤血球を破壊しやすくしてしまうという性質があり、人間のように抗体物質を持れば、なんの影響もありませんが、猫や犬のように、抗体を持っていない動物が食べた場合、赤血球が破壊されて、貧血をおこしてしまうのです。

ネギ以外にも、チョコレート、ブドウなど、猫や犬が食べると中毒を起こす食べ物があります。

 

〇異物誤飲による腸閉塞を起こすリスク

 

私たち人間は、「ラップは食べられない」「包装紙は食べられない」と経験で知っています。

でも、猫にとっては、「保存のために食品をラップで覆う」「食品が傷つかないように保護するために紙で包む」という知識がありません。

もちろん、ずっと人間と暮らしていると、猫も経験し、知識を蓄えていきますから、いずれ「ラップや紙は食べられない」と理解してくれるようになります。

逆に言うと、人と暮らした経験が浅い猫、外で自分で餌を取って暮していた経験が長い猫、何もかもが未体験で好奇心が旺盛な子猫などは、「美味しいものがあるけど、この膜はなんだろう?」と、食べてしまう危険性が高いということです。

 

〇病気になるリスク

 

乾物などの保存食を猫が盗み食いをしていることに気付かずに、長期にわたって好きなだけ食べていたら、猫の体にどんな異変が起こるでしょう?

まず、かつおぶし、煮干しなどは非常に塩分が高いので、腎臓にダメージが蓄積されていく恐れがあります。

また、高野豆腐、麩などは、それぞれ大豆、小麦粉で出来ているため、アレルギーを起こす危険性や、水分を摂ることで大きく膨らむので、食べすぎによって消化不良を起こすことがあります。

また、体の中がアルカリ性になることによって、結石が出来やすくなります。

 

■盗み食いによって引き起こされる病気 5つ

〇尿路結石

 

尿」は、腎臓で作られ、尿管、膀胱、尿道を通って体外へ排出されます。

尿路」とは、尿が通っていく道筋のことを言い、「尿管結石」とは、その「尿路」の中に、「」が出来ることを言います。

この「」のことを「結石」と言い、人間でも起こる病気です。

猫や犬の場合、「ストルバイト体質」と言って、もともと結石が出来やすい個体がいます。

ただし、そうでない場合は、食生活によって、体の中がアルカリ性に近づけば近づくほど、結石が出来やすくなります。

猫の体をアルカリ性にしやすい食品としては、大豆、イモ類、穀物類、ナス、トマトなど、

私たち人間にとっては、当たり前に食卓に並ぶものです。

 

〇腸閉塞

 

ラップや紙など、食品でないものを食べた場合だけでなく、果物の種などを丸のみしてしまった時にも、腸閉塞を起こす危険があります。

 

〇貧血

 

ネギ科のニラ、玉ねぎ、にんにくは猫の赤血球を破壊し、ひどい貧血を引き起こします。

 

〇嘔吐、下痢による脱水

 

食べ物によっては、食中毒を起こし、嘔吐や下痢と言った症状が出ます。

特にチョコレート、ブドウなど少量でも死に至ることがあるので、食卓に出したままにしないようにしましょう。

 

〇皮膚炎

 

貝やイカ、エビなどの甲殻類に含まれる物質によって、血管に炎症が起こることがあります。

 

■盗み食いをさせないようにする方法 子猫偏

〇人の食べ物を与えない

 

まだ、人間との生活に慣れていないうちに、「盗み食いを知らない猫」に育てます。

それには、「人間の食べ物に興味を示さない猫」に育てることが肝心です。

 

〇食事でお腹をいっぱいにする

 

他の食べ物に興味を持たせないように、体の成長に必要なだけ、しっかりと食事を与えます。離乳食を終え、普通の食事が取れるようになる時期に今後の猫の食事のサイクル、食事の量など、食生活のさまざまなことが決まっていくと言われています。

そのため、特にこの時期の子猫に与える食事には、ただ、「盗み食いをしない猫にする」とうだけでなく、家の子として健康に長生きして貰うためにも、しっかりと気を配る必要があります。

 

〇目を離さない

 

人間でも、ハイハイをするくらいの赤ちゃんは、床に落ちているものでも興味があれば、口に入れてしまうことがあります。

ですから、この時期のお母さんたちは、家事をしていても、赤ちゃんから完全に目を離すことが出来ず、赤ちゃんが起きている間は、ずっと目も心も赤ちゃんに注いでいます。

それと同じで、何が危険で何が安全かわからない子猫のうちは、家の中で自由にさせる時、出来る限り目を離さないようにしましょう。

 

〇台所は入らないように躾ける

 

成猫になれば、超えてしまえるような高さであっても、子猫の間に「ここから先は行けない」と覚えこませるために、台所への出入口にベビーゲートなどを設置しましょう。

盗み食いを防ぐだけでなく、シンクの上に登ったり、ガス台に近寄ったりしないようにすれば、怪我をするリスクも減らせます。

 

■ケース別 盗み食いを止めさせる方法 成猫偏

〇台所の食品を漁る時の予防法

 

台所に猫を入れないようにすることが出来れば、それが一番の予防策になります。

どうしても、それが不可能な場合は、台所にどんな食料もむき出しにしないで冷蔵庫に入れたり、ラップで覆って食器棚などの中に入れて保存するようにしましょう。

乾物なども、袋のままで保管するのではなく、猫に袋を食い破られることが無いよう、プラスチックのケースなどに入れて保管しましょう。

 

〇残飯を漁るときの予防法

 

すぐに食べる予定がなければ、冷蔵庫や冷凍庫に保管します。

生ごみを一時的に貯めておく三角コーナーなどに、魚の内臓などが入っている時は、猫に気付かれる前にビニールで密閉し、生ごみ用のペールに移動させます。

普段から、「あそこに食べ物がある」と猫が覚えてしまうと、飼い主さんの隙を見て盗み食いをしにくるので、極力残飯を長時間台所に置きっぱなしはせず、常に清潔な状態を保つようにしましょう。

 

〇食卓の上の食べ物を狙う時の予防法

 

食卓の上に乗らないように厳しく躾けます。

猫は躾が出来ない」とは思わず、テーブルの上に乗ったら、毅然と「ダメ!」と大きな声で叱り、「ここに乗ってはいけない」と顔の表情でも、

声でもしっかりと猫に伝わるように大袈裟に叱って見せることが大切です。

 

〇ゴミ箱を漁るときの予防法

 

足でペダルを踏んで開閉するタイプのゴミ箱や、少しひねらないと開かないタイプのゴミ箱を用意します。

また、どうしてもゴミ箱を漁るのを止めないようなら、面倒でも、猫が出入りできない場所へゴミ箱を移動させます。

 

■まとめ

 

飼い猫の食の好みは、千差万別です。なんでも美味しく食べてくれる猫もいれば、特定のフードやおやつしか口にしない猫など、いろいろなタイプがいます。

いずれにせよ、飼い主さんにとって、猫の食欲は健康のバロメーターとなるのですから、食事の量はとても気になりますよね。

本来、猫が人間の食べ物を掠め取るのは、飢えを凌ぐためと考えられていますが、しっかり食事を与えていても、盗み食いをする癖のある猫は、虎視眈々と盗み食いをするチャンスを狙っています。

ただ、肥満になるだけでなく、人間の食べ物を食べて食中毒を起こしたり、消化できないものを食べて、腸閉塞を起こしてしまったりすると、最悪の場合、猫が命を落としてしまう可能性もあります。

飼い猫の盗み食いは、飼い主さんの注意と気遣いで防げるものです。言い換えれば、飼い主さんの注意と気遣いが足りなければ、猫を危険に晒している、ということになります。

飼い猫の誤飲誤食は飼い主さんの責任です。大切な家族だからこそ、「盗み食いをさせない」ように、食べ物の扱いにはしっかりと注意を払いましょう。

能野 和子

■経歴

わんちゃん本舗というキュレーションサイトで、「めいちーままま」というハンドルネームでほとんどが犬に関する記事ですが、200本ほど記事を執...