猫が大人しくクレートに入ってくれるようにする方法と手順
「クレートやキャリーに入る時、大暴れする」という悩みを抱える飼い主さんは多いと思います。
もし、大人しくクレートに入ってくれるようになると、ただ、病院に連れていく時だけでなく、旅行やドライブにも猫を連れていくことが出来るようになります。
「猫に躾は出来ない」と諦めずに、大人しくクレートに入ってくれる猫になるよう、トレーニングを初めて見ませんか?
もくじ
猫がクレートに入るのを嫌がる理由
〇怖いから
普段、クレートやキャリーケースに入る習慣のない猫をその中に入れようとするとき、飼い主さんはどんな行動を取りますか?
おそらく、無理に抱きかかえ、クレートの中にねじ込むように入れていると思います。
また、爪で引っ掻かれるのを避けるために、洗濯ネットや猫を捕まえるための専用のネットを使って、猫の動きを制御してから、クレートに入れるというやり方もあります。
いずれにせよ、とにかく猫をクレートに入れることで精一杯で、「なぜ、クレートに入るのがそんなに嫌なのか」については、考えたことがありますか?
猫にしてみれば、「クレートに入れられる=怖い場所に連れていかれる」と知っているか、あるいは、縄張りの外に連れていかれることを経験上、知っているため、必死に抵抗するのです。
猫にとって、自分の縄張りの外に出る、ということは人間でいうと、治安の悪い町へ無理やり連れていかれるのと同じくらい怖いのです。
ですから、例え自分の健康のためとは言え、動物病院に行く際にクレートに入るのは、断固拒否!という意思表示で必死に抵抗するのです。
〇窮屈だから
猫は、自ら好んで狭い場所に入りたがります。とはいっても、無理やり押し込められるも、自分好みの場所でないところに監禁されるのも、居心地が悪くてストレスになります。
■猫の習性を知っておこう
〇狭いところが好き
私たちが家族として飼育している猫の祖先は、「リビアヤマネコ」と言われています。
ライオンやトラと言った大型の猫とは違って、「リビアヤマネコ」は、ネズミやイタチ、昆虫などの小型の動物を捕食していました。
ネズミやイタチなどは、小さな穴の中に生息していることが多く、猫は本能的に「せまいところには美味しいモノがいるかも!」と、期待感を抱くのではないかと考えられています。
〇暗いところが好き
本来、猫は暗いところに入り込むのが大好きです。
テレビ台や靴箱の下、洗濯機の裏など私たち飼い主が「そんなところにいたの?!」と驚くような狭いスペースに潜り込んでいることもあります。
これは、もともと猫が野生で暮していた時に身に付いた習性で、暗い穴の中なら、自分は身を隠すことが出来、自分の体よりも大きな外敵はその穴の中に入ってくることが出来ません。
その穴の中に入っている限り、敵に襲われることない、と安心して過ごせました。
その経験は猫の本能となって受け継がれ、敵などいない環境で育っても、暗いところに潜り込みたいという衝動は消えずに残っているため、猫は暗いところを好むと考えられています
■クレート好きの猫にするメリット
〇健康を維持しやすい
キャリーやクレートに大人しく入れるようになれば、動物病院に連れていきやすくなります。
もし、愛猫がクレートなどに入るのを嫌がって、毎回大暴れしていたら、飼い主さんは「これだけ元気なんだから、病院に行かなくても大丈夫だろう」と考えたり、「動物病院に連れていく度に私の腕が血だらけになるわ」と、相当猫が弱った時にしか病院に連れて行かなくなるでしょう。
例え、命にかかわるような病気でなくても、皮膚が荒れたり、目ヤニがひどかったりと言った症状でも、大きな病気の兆候かも知れません。
それなのに、猫がクレートに入ってくれないからと言って、診察を先延ばしにしていたら、手遅れになってしまうこともあり得ます。
特にシニア期に差し掛かった猫は、普段元気であっても、定期的に健康診断をしてもらうことで、病気を早期発見出来たり、栄養状態を改善するための指導を受けることで健康を維持することが出来ます。
ですから、愛猫の長生きを願うのなら、クレートトレーニングは必須と言えます。
〇旅行に連れていける
猫の飼い主さんは、「猫がいるから旅行に行かない派」と「猫は自由にしているから、水とご飯だけを用意して、二泊ぐらいなら猫を置いていく派」、それから「ペットホテルやペットシッターに預ける派」に分かれると思います。
ふだん、我が子の様に想っている猫が、飼い主さんや家族が誰もいなくなった家に残されて、どんな気持ちになるか、考えたことがありますか?
飼い主さんのことが大好きで、毎晩、飼い主さんの側で眠っているような猫は、きっと、片時も飼い主さんと離れたくないと願っているはずです。
「猫とお泊りなんて出来ない」と諦めることはありません。
猫が大人しく、クレートやキャリーに入ってくれさえすれば、車や電車などの公共交通機関を利用し、一緒に旅行を楽しむことが出来ます。
〇災害時、同行避難が出来る
日本は、自然災害も多く、また、地震も頻発する国です。
豪雨や台風の予報が出て、避難指示が出た場合でも、「うちは猫がいるから避難できない」と避難をためらう人が多かった、という事例があります。
けれども、普段から大人しくクレートに入れるようにトレーニングしておけば、そういった緊急時に速やかに避難することが出来ます。
最近では、ほとんどの自治体がペットとの同行避難を推奨していますが、念のため、しっかりと確認しておきましょう。
〇留守中の安全が確保できる
猫の飼い主さんは、ご自身が外出される際、わざわざ猫をクレートやケージに入れる人は少数派だと思います。
ですが、飼い主さんの目が届かない間に誤飲誤食をしたり、何かに怯えて、家の中のどこか狭いところへ潜り込んで出てこれなくなったりする危険性を考えると、数時間、家を留守にするのであれば、猫の安全を確保するためにも、クレートやケージの中でお留守番をしてもらう方が良いかも知れません。
■大人しくクレートに入ってくれるようにする方法と手順
〇手順1
キャリーケース、クレートをいつでも自由に出入りできる状態で部屋に置きます。
上下を分離できるものは、上部を外し、扉がついているものは、扉を開け放ったままにしておきます。
もしかしたら、自分のなわばりに見覚えのないものがあれば、警戒して近づかないかも知れません。
けれども、1週間から10日もすれば、徐々に警戒心も和らぎ、好奇心や居心地の良さが勝って来ます。
設置して数日の間は、猫が興味も示さず、見向きもしなくても、焦る必要はありません。
しばらくは一旦設置した場所にキャリーケースを置きっぱなしにして様子を見守りましょう。
〇手順2
次に猫が一番好んで食べるおやつを使って、クレートの中に誘導します。
そして、クレートの中でおやつを食べさせます。
そうして、徐々にクレートの中に入っていられる時間を伸ばしていきます。
例えば、おやつを使って誘導し、猫が中に入る。すかさず、おやつを与える。
優しく声を掛けたりして、猫をリラックスさせます。
飼い主さんも、この時、愛猫とのコミュニケーションを存分に楽しんでください。
そんな風に時間を過ごし、15分以上、猫がクレートに入れるようになったら、次のステップに進みます。
〇手順3
最初に置いた部屋から、クレートを移動して、手順2を行います。
問題なく、クレートの中で過ごせるようになったら、扉を閉めるタイプのクレートやキャリーなら、そっと扉を閉めてみましょう。
上下別れるタイプのものなら、そろそろ組み立てて設置し、怖がらずに中に入るようになれば、こちらも、ごく短時間、扉を閉めます。
猫が大人しくクレートに入っていたら、猫がストレスを感じる前に扉を開いて外に出します。
「お利口さんだったね」と、しっかり褒めつつ、猫が大好きなおやつを与えてください。
この手順2と手順3を根気よく繰り返すことで、猫が「クレートの中に入ればおやつが食べられる」「クレートに入ればいいことがある」と理解するようになります。
〇手順4
猫が扉を閉めた状態で、クレートやキャリーの中に入ったまま、大人しく出来るようになったら、その状態で持ち運んでみましょう。
最初は、例え取っ手がついていても、しっかりと抱きかかえ、出来るだけ揺らさないように注意深く運んでください。
問題なく、運ぶことが出来たら、すぐに猫をクレートから出して、大好きなおやつを与えて、たくさん褒めてあげましょう。
次に、クレートに入れたまま、外に出ます。それで問題なければ、車に乗せてまずは、短い時間、一緒にドライブしてみます。
それでも、猫が落ち着いていたら、クレートトレーニングは大成功です。
〇手順5
普段から、クレートやキャリーを使い続けます。
一旦、上手に出来たからと言って長い間、クレートを使わずにいると、せっかくトレーニングしたことを猫が忘れてしまうことがあるので、日常的にクレートやキャリーを使う習慣を維持していきましょう。
■クレート、キャリーの選び方のポイント
〇大きさ
クレートやキャリーにはさまざまな大きさがありますが、猫の体に対して、小さすぎても、大きすぎても、猫にとってはストレスになります。
猫の全身が入って、中で360度回転出来て、高さは伏せをした状態で入ることが出来、奥行きは、伏せをした前足の先から尻尾の付け根まで、そのサイズ感が猫にとって一番、精神的に落ち着ける大きさです。
〇構造
猫用のクレートやキャリーは、特に大型の猫でない限り、小型犬用のものが仕えます。
大きく分けると、本体部分がプラスチックで扉がアルミなどで出来ているハードタイプと、折りたたんだりできる布製のソフトタイプがあります。
ソフトタイプは、持ち運びには便利ですが、キャリーなどに入ることを一から教える時には適していません。
どんな状態でも飼い主さんの指示で大人しくクレートに入るようになってから使い始めたほうが良いでしょう。
もし、その際、布製のキャリーには、ショルダータイプと、リュックタイプがありますが、いずれにせよ、底の部分がしっかりしているものを選んだ方が、猫の体が安定します。
〇強度
災害時の同行避難や、ドライブに猫を連れていく際は、ハードタイプのものを使います。
扉の構造は単純でも、簡単に外れることのないよう、しっかりと確認します。
また、同行避難の際は、クレートの上に荷物を載せたり、他のおうちのペットのクレートとで積み上げられたりする可能性もあるので、購入時に「耐荷重」が明記されているものを選びましょう。
中古品などを購入すると、プラスチック部分が劣化して、脆くなっていることもあるので、特に注意が必要です。
■クレートトレーニングを行う時の注意点
〇大きな音を立てない
扉を閉める際はもちろん、猫が落ち着いてクレートに入っている時に、外から大きな物音を立てたりすると、猫に警戒心を持たせてしまいます。
いかに猫をリラックスさせるかを第一に考え、クレートに慣れるまでは飼い主さんも落ち着いて猫とコミュニケーション取れるタイミングと時間帯を選んで、クレートトレーニングを行いましょう。
〇ケガをさせない
クレートを閉める際に尻尾を挟んだり、持ち運ぶ時に扉が開いて、猫が箱から飛び出したりすると、子猫や老猫の場合、ケガをすることがあります。
そういったアクシデントが起こりえることも、念のため頭に入れておきましょう。
〇焦らない
部屋にクレートを置いて、おやつで誘導しても、なかなか思うようにトレーニングが進まないこともあるでしょう。けれども、焦ってはいけません。
飼い主さん自身が緊張したり、「どうしていうことを聞いてくれないの?」とイライラしたりすると、猫はその感情を「異常事態」と察知して、ますます警戒心を強めてしまいます。
クレートトレーニングは、愛猫と十分にコミュニケーションを取りながら、愛猫の成長を見守るような気持ちで気長に、穏やかにゆったりと進めていきましょう。
■まとめ
もし、私たちが全く意思の疎通が出来ない相手にいきなり捕まって、狭いところに監禁されたらどう感じるでしょう?
何度もそんな経験をするうちに「狭いところに閉じ込められること」に恐怖を覚えるはずです。
そして、その恐怖から逃げるために必死に抗うでしょう。
猫も同じです。
クレートに入っても、何も怖くない、むしろ、安心できる場所だ、と猫が学習してくれたら、中に入るように誘導するのも簡単です。
とはいえ、どんなに長く一緒に暮らしていて、猫と飼い主さんの間で深い信頼関係が築けていても、基本的に猫はとても憶病な性格です。
私たち飼い主は、猫がクレートに入りたいと思う環境を整え、習慣づけるようにお膳立てするだけで、決して焦らず、強制せず、猫の自発性に任せて、猫の成長、進化を見守りましょう。
