ドッグトレーナーが教える!知っておきたい子犬のしつけに必要なもの
子犬のしつけをするときは、さまざまな道具を利用しながら行います。
それらの道具は、子犬にしつけが楽しいことだと教えるのに必要です。
この記事では、子犬のしつけに必要なものとその理由について解説します。
もくじ
子犬のしつけに必要なものとその理由
子犬のしつけには、多くの道具を必要とします。
それぞれの道具の必要性などについて、事前に知っておくことが大切です。
リード
リードは、子犬のしつけに限らず犬を飼う上で必要となる道具です。
散歩のときはもちろん、はじめてのドッグランなど慣れない場所で子犬を扱うときにも重宝します。
リードといっても、さまざまな種類があります。
2m程度の長さの一般的なリードや、フレキシブルリードといわれる10mほどの伸縮を可能にしたリードなどがよく利用されているでしょう。
また、呼びのしつけをする際に使用するロングリードも用意しておくことをおすすめします。
散歩のときは通常のリード、しつけのときはロングリードなど、使い分けることでしつけをスムーズに行うことができるでしょう。
しかし、伸縮可能なフレキシブルリードはおすすめしません。
なぜなら、犬をコントロールしにくいからです。
リードを伸ばした状態で散歩をしているときに、子犬が突然道路に飛び出してしまったらコントロールすることができません。
万一の事故を防ぐためにも、フレキシブルリードは使用しないほうが無難でしょう。
首輪・チョーク
子犬のしつけをする際は、首輪も必要です。
首輪は子犬をコントロールするときはもちろん、脱走してしまったときにもひとつの目印となります。
「おすわり」や「伏せ」のしつけをするときに犬の首輪を利用して誘導することがあるため、かならず首輪は着けましょう。
また、犬のしつけをする際にチョークを使用する人もいます。
チョークはリードを引っ張ることで犬の首が締まるため、叱るときや合図をするときに便利です。
しかし、子犬の首は弱いことが多いため、大型犬でない限りは生後半年前後まではチョークを使用しないほうがよいでしょう。
特に小型犬は首に負担がかかるのを避けるためにも、チョークは使用しないことをおすすめします。
ちなみに、大型犬が着けることの多いハーネスは、子犬の頃に使用しないようにしましょう。
ハーネスは犬の胴体に着けるものであり、犬の引っ張る力が軽減されることがありません。
そのため、子犬の頃からハーネスに慣れていると、引っ張り癖が付いてしまう可能性があります。
ケージ
子犬に限らず、犬を飼うにはケージが必要です。
ケージは犬の休憩スペースにもなるため、かならず用意してあげましょう。
特に子犬の頃であれば、ケージはトイレのしつけをする際にも使用します。
ケージ一面にトイレシートを敷き、その上で用を足させることにより、子犬は徐々にトイレシートの上で用を足すことを覚えるはずです。
その後徐々にトイレシートの範囲を狭くしていくことで、ケージの広いスペースで寝床とトイレを分けることができるでしょう。
トイレシート
犬を外飼いしていた時代では、トイレのしつけが不要だったかもしれません。
しかし、現在はほとんどの犬が室内で飼われています。
そのため、トイレのしつけをしなければ家の中が不衛生になってしまうでしょう。
子犬のトイレのしつけをするには、トイレシートが必要不可欠です。
人によっては、「うちは外でしかトイレをさせないから」と、家の中で犬が用を足すことを禁止しているところもあります。
しかし、それは犬が子犬や成犬の元気なときであればよいかもしれませんが、シニア犬となって散歩に行くことが難しくなってからでは大きなストレスとなってしまうでしょう。
犬はシニア犬になってからも、「家の中で用を足すと飼い主に叱られる」と覚えているものです。
犬は飼い主に叱られたくないため、家の中では用を足したくても我慢をしてしまうでしょう。
そうなるとストレスが溜まることはもちろん、何らかの病気の原因となる可能性もあります。
そのため、犬には子犬の頃から室内で用を足すことを覚えさせておくことがおすすめです。
ご褒美
子犬のしつけをする上で、もっとも大切なものといっても過言ではないのが、ご褒美です。
多くの飼い主は、犬がしつけに取り組むのはご褒美のためだと考えているかもしれません。
たしかに間違いではないですが、犬は「飼い主に褒められるため」にしつけに取り組んでいます。
犬にとって飼い主に褒められる、認められることはしつけの大きなモチベーションになります。
そこで、犬に褒めていることを理解してもらうために、ご褒美を使用するのです。
ここでいうご褒美は、子犬のしつけが成功したときに与えるボールやおやつなどのことを指します。
ご褒美を与えるタイミングというのは、実は犬のしつけでもっとも難しいものです。
正しいご褒美の与えるタイミングを先にいってしまうと、「犬を褒めた後」です。
おそらく、ほとんどの飼い主は犬を褒めるのと同時にご褒美を与えているでしょう。
よく見かけるのが、「よし!」といいながら犬にご褒美を与えている人です。
この、「よし!」といいながら犬にご褒美を与えている姿には、ふたつの間違いがあります。
まずひとつが、先述したようにご褒美の与えるタイミングです。
犬を褒めるのと同時にご褒美を与えてしまうと、犬は飼い主に褒められたことの前に、ご褒美に喜んでしまいます。
そうではなく、犬を褒めた後にご褒美を与えることによって、犬は「飼い主が喜んだ後にご褒美をもらえるってことは、いま自分は正しいことをしたからご褒美をもらえたんだ!」と理解するようになるはずです。
そしてふたつ目の間違いが、「よし!」と褒めることです。
「よし!」は犬をしつけから解放する合図ですので、これは間違いということになります。
そのため、「えらい!」や「そうだ!」などと犬を褒めるようにしましょう。
「よし!」と褒めると、犬は何に対して褒められているのかわからなくなってしまいます。
そのため、犬にご褒美を与えるときには、かならず「そうだ!」などと褒めて犬といっしょに遊んでからご褒美を与えるようにしましょう。
ちなみに、ご褒美はおやつよりもボールなどのおもちゃをおすすめします。
子犬の頃からおもちゃでいっしょに遊んでおくことで、おもちゃ好きのしつけがしやすい犬になるはずです。
おやつでも悪くはありませんが、肥満などのことも考えるとやはりおもちゃのほうがおすすめです。
子犬のしつけに必要な飼い主の心構え
子犬のしつけに必要なものといっても、道具だけではありません。
しつけをする飼い主の心構えも、とても大切です。
叱りたいときは無視をする
子犬のしつけは、「楽しいことをしたい」という子犬の欲求が先行してしまい、うまくいかないときもあります。
しかしそんなときに子犬を叱ってしまうと、子犬はしつけが楽しいものではないと理解してしまい、積極的にしつけに取り組んでくれないようになるでしょう。
それを避けるためには、叱りたいときには子犬を無視することです。
子犬は無視をされることで、「構ってくれないならやらなくてもいいや」と理解するようになります。
例えば飼い主に対して甘噛みをするのも、子犬が飼い主に構ってほしいという気持ちを表現するひとつの手段です。
しかし、ここで子犬に「やめてよ」と優しく声をかけると、子犬は遊んでもらっていると勘違いしてさらに甘噛みがエスカレートしてしまいます。
また、「こら!」ときつく叱ってしまうと、子犬は悪いことをしている認識がない状態で叱られるため、飼い主のことを恐怖の対象として見るようになるでしょう。
そんなときに、無視をすることが効果的なのです。
甘噛みをしている子犬を無視することで、子犬は「噛んでも構ってくれないのか、それなら噛まなくていいや」となり、徐々に甘噛みをしなくなるでしょう。
例として甘噛みを挙げましたが、甘噛みは成長するにつれて噛み癖となっていくため、なるべく早めに対処をする必要があります。
子犬といっしょに楽しむことを意識する
子犬のしつけをする際には、子犬といっしょに自分も楽しむことを意識しましょう。
「愛犬をしっかりとした犬にしつけしたい」と考えていると、どうしても真剣にしつけに取り組んでしまいがちです。
そんなしつけの緊張感は、子犬であっても犬に伝わります。
そうではなく、犬が幼いうちはいっしょに楽しみながらしつけに取り組みましょう。
心から子犬といっしょにしつけを楽しんでいると、子犬もかならず楽しんでしつけに取り組んでくれます。
しつけで100点満点を目指すのは成犬になってからでもよいので、まずは子犬にしつけが楽しいものだと認識してもらいましょう。
子犬とのコミュニケーションを重視する
犬のプロフェッショナルといわれるドッグトレーナーでも、はじめて接する犬をしつけすることは難しいでしょう。
なぜなら、しつけは人間と犬の信頼関係があってはじめて成り立つものだからです。
多くのドッグトレーナーは預かり訓練などで犬をしつけする際は、はじめの1~2週間はしつけをしません。
まずはいっしょに長い時間をかけて散歩をしたり、いっしょに遊んだりします。
そうすることで、犬に「この人はいっしょにいると安心する」と理解してもらいます。
そこではじめて、犬のしつけに取り組むことが可能です。
そのため、子犬のしつけをする際はコミュニケーションを重視しましょう。
子犬のしつけは犬を迎え入れたその日から行いますが、それはトイレのしつけなどの生活をする上での必要なしつけです。
そうではなく、「おすわり」や「伏せ」などのいわゆる服従訓練を行う際には、子犬と仲良くなってから取り組むことをおすすめします。
しつけは長くても2~3分
しっかりと服従訓練がされた犬であれば、飼い主の「待て」の命令に対して10分以上待つことができる犬もいるでしょう。
しかし、多くの犬の集中力は5分程度が限界だと考えられています。
成犬で5分ですので、子犬であればもっと短いです。
そのため、子犬のしつけは長くても1回2~3分で終了しましょう。
その後は約30分以上の休憩時間を挟んでから、ふたたびしつけに取り組みます。
集中力の切れた犬をしつけしても、まったく意味がありません。
それどころか、しつけの強度が弱くなってしまいます。
子犬であればなおさらなので、1回のしつけはメリハリをつけて短い時間で取り組むようにしましょう。
子犬のしつけはアイコンタクトを意識する
犬のしつけは、アイコンタクトが大切です。
飼い主の目を見ているときは、犬がしつけに集中しているサインとなります。
もちろん、子犬のしつけでもアイコンタクトは大切です。
アイコンタクトは、飼い主も犬の目を見ておかなければなりません。
つまり、飼い主も犬に集中しておく必要があります。
そのため、しつけのときはもちろん、散歩のときや家でゆっくりとしているときにも、子犬とのアイコンタクトを意識しながら生活をしましょう。
ほかの犬と比べない
当たり前のことですが、犬はそれぞれ性格や特徴が異なります。
しつけが大好きで積極的に取り組む犬もいれば、飼い主といっしょにゆったりと過ごすのが好きな犬もいるでしょう。
そのため、子犬のしつけをするときはほかの犬と比べてはいけません。
どうしても「あの犬、うちの犬と同じくらいなのにすごくしつけがされている!」と考えてしまいがちです。
しかし、それぞれ犬は個性があるので、焦る必要はありません。
あくまでもマイペースに子犬としつけに取り組むことで、お互い気楽にしつけを楽しむことができるでしょう。
まとめ
極端にいってしまえばリードと首輪、そしてご褒美さえあれば子犬のしつけは可能です。
それぞれの道具にはたくさんの種類があるため、犬の性格やシーンに合わせたものを選ぶとよいでしょう。
しつけの道具もそうですが、一番大切なのは飼い主のしつけに対する心構えです。
決して気負いすることなくマイペースにしつけに取り組むことで、きっと子犬は飼い主の気持ちに応えてくれるでしょう。
そして、大切なのは子犬といっしょに自分もしつけを楽しむということです。
飼い主の楽しい気持ちは、かならず子犬に伝わります。
子犬の頃からしつけがつまらないものだと理解されたら、成犬になってからもしつけに積極的に取り組んではくれません。
そのため、子犬がいうことを聞いてくれなくても慌てることなく、しつけが成功したときに思い切り褒めて遊んであげることを重視しながらしつけに取り組みましょう。