フードを食べてくれない!愛犬の少食偏食への対応法
愛犬の好き嫌いや偏食で深刻なお悩みを抱えている飼い主さんが年々増えています。これまでは少食や偏食といえば小型犬特有のお悩みと思われ、中大型犬とは無縁と思われていました。
でも今や中大型犬達も小型犬と同じ悩みを抱えています。特に頑固で一途な気質が特徴的な柴犬はこの悩みが深刻です。
今回は愛犬の健康維持に欠かせない毎日の食事を食べてもらえないとき、家族はどう対処すべきかを詳しくご説明させていただきます。
もくじ
■食べない理由は様々!甘えやわがままだけが理由じゃない
愛犬がドッグフードを食べてくれないというお悩みがたびたび寄せられますが、食べないとう症状は一緒でもその理由は様々です。
愛犬の食のお悩みを解決するためには、まず愛犬が食べてくれない理由を見つけることから始めてみましょう。
少食や偏食に多い理由は
・わがまま
・好き嫌い
・風味が苦手
・粒のサイズが大きすぎて食べにくい
・粒が固すぎて食べにくい
・胃もたれや胃腸の不快感など体調不良
・口内の痛みや出血に伴う不快感
・家族との関係性
・ストレス
・食事をする環境
上記は理由として考えることができるごく一部です。犬はとても繊細で家族の感情や行動に敏感に反応します。
家族は気がついていない些細なことが愛犬が食事を拒む理由になっていることもあります。
まずは愛犬の普段の様子や食事を前にした時の態度などから、何が原因かを考えてみてください。
■家族が心配しすぎてわがまま放題に!様子を見ることも必要
目の前にドッグフードを置いてもまるで無関心、臭いを嗅ぐこともないなど愛犬の少食や偏食に悩むご家庭がたくさんいます。
小型犬の場合、低血糖の心配も強く、食べないからと放置したり、食事を片付けてしまうのも不安に駆られます。
何日も続く偏食や少食を見かねて、愛犬の好みに合わせてドッグフードを買い替えたり、作り替えているという方も多いでしょう。
もちろんドッグフードの買い替えや作り替えで少食や偏食、食べない問題が解決できるのであれば問題ありません。
でもこの解決法は大抵の場合、一過性です。新しいドッグフードも数回、数日と続けてあたえつづけると次第に食欲が減退し、まだ見向きもしてくれないという問題に直面します。
家族が良かれと思っているこの行動を犬は
・ドッグフードを拒否してみたところ、もっとおいしい食べ物が用意された
・飼い主の関心を惹くことができた
・食事はいつでもどこでも思いのままの手に入る
と勘違いをしてしまいます。
中にはドッグフードを拒否し続けたことで、家族の食卓からおすそ分けをもらうという方法があると勘違いをしてしまった犬もいるでしょう。
これでは家族は常に新しいドッグフードを探し求め、時には購入したものの愛犬の好みに合わず泣く泣く捨てるということも起こります。
犬が人間と一緒に室内で暮らし始めたことで、犬本来の習性である食への飢餓感は消え去ってしまいました。
目の前の食べ物を拒絶しても、かならず代替品が用意されることを学んだからです。
わがままが理由で起こる少食や偏食を解消するためには
・ドッグフードを与え、食べない場合でも15分程度はそのまま様子を見る
・サークル内で食事をする習慣をつけ、食事に集中するように促す
・食事中の様子を飼い主が傍で見守ったり、凝視したりしない
・短期間でドッグフードを切り替えない
・家族の食べ物をおすそ分けしない
などの方法を試してみてください。
心配だからと家族がすぐそばで見守り続けてしまうと、愛犬は家族と遊びたい、家族の関心を惹きたいと考え、食への関心が薄れてしまいます。
特に子犬は食事に集中させることが絶対条件です。
生活を変えて食欲増進を目指す
・食事は散歩から帰宅後
・家族と遊び、愛犬のテンションが上がった直後に食事を与える
・知育玩具を使って食事を与える
犬も人間と同じで寝起きすぐにたくさんの食事を用意されても食が進まないことがあります。
寝起きや家族の帰宅直後は食事よりもまずは家族との触れ合いに関心が向いているでしょう。散歩や軽い遊びをまずは済ませ、愛犬が活動的になったタイミングで食事を与えると、愛犬も進んで食事をしてくれることが多くなります。
いつもは皿で食事を与えている場合、知育玩具に変えるだけでも効果的です。知育玩具とはオモチャの中にドッグフードを詰め込み与えるアイテムです。
愛犬はパズルを解く感覚で、ドッグフードを取り出そうと試みます。試行錯誤した結果、やっと取り出すことのできたドッグフードならつい口にしてしまうのも納得です。
この方法なら遊びながら食事を済ませることができるので、家族にとっても手軽に問題解消を期待できます。
■ドッグフードの無暗な切り替えが少食や偏食を招く
必要性のないドッグフードの切り替えは行わない、これはしつけの観点からもたびたび推奨されている方法です。
でも実はこの手法には愛犬の少食や偏食、食へのストレスを回避するという意味もあります。
ドッグフードの定番であるドライフードは、今や数百を超えるブランドが国内で発売されています。
ペットショップの店頭には海外有名大手メーカーの商品から国内の小規模な工場で手作りされているこだわりの商品まで色とりどりの商品が並んでいます。
でも、一見するとどれも同じ固い粒に見えるというのが飼い主の本音でしょう。
もちろん購入するときに
・無添加であること
・愛犬のアレルギー源となる原材料が配合されていないこと
・価格
などはチェックされるでしょう。でもこのチェックをクリアすれば、どのブランドの商品であっての大差がないように思えます。
中には新商品を見かける度に買い替えているという方もいるでしょう。
でも一見どれも同じに見えるドライフードでも、愛犬の立場から見ると
・風味
・食感
・粒のサイズ
・粒の固さ
がまるで異なっています。
ドライフードを製造する工程は各社さほど大きな違いはありませんが、使用する素材や加熱時間、パッケージの方法によって中身はまるで別物です。
人間の感覚では気がつかないものの、犬の優れた嗅覚なら違いは一目瞭然です。ドッグフードを切り替えたら愛犬が食べてくれない、切り替えたら少食は改善したなどの変化が起こるのはこのためです。
特に小型犬の場合、わずか数㎜の粒サイズの違いが愛犬の食欲を大きく左右します。飼い主目線で選ぶ良いフードが必ずしも愛犬にとっても良いフードとは限りません。
場合によっては、ドッグフードに使用されている動物性油脂が原因で不快な臭いがしたり、消化不良を起こすこともあります。愛犬が不快な臭いを察知し、食べることを拒むのも当然です。
ドッグフードを切り替える時は
ドッグフードの切り替え時に起こりがちな少食や偏食を防ぐためには
・試食品で愛犬の嗜好性を確かめる
・数日~一週間程度かけ、徐々に新しいフードに切り替える
・少量ずる複数回に分け与え、愛犬の消化不良が起きていないか確かめる
これらの方法で愛犬の様子を確認しながら切り替えを進めてゆきましょう。
ドッグフードを切り替える時はまずは試食を行いましょう。試食は数回分程度の量があると見極めが確実にできます。
■体調不良が原因で食が進まないことも
犬は人間の7倍のスピードで歳をとります。これは体調不良や病気も7倍のスピードで進んでしまうという意味でもあります。
まだまだ若いと感じる愛犬でも6歳を過ぎるとシニアと呼ばれる年齢に差し掛かります。
シニアになると
・内臓機能の低下
・運動量の減少
・筋力の低下
・骨格の不調や痛み、不快感
・痴呆
・持病の悪化
など様々な変化が起こり始めます。
若く健康なころは勢いよくドライフードを食べることができていた愛犬も、気がつけばシニア期を迎え、ドライフードを食べることが負担になっているということもあります。
愛犬はドライフードを食べることで
・胃の膨満感
・食後の嘔吐
・消化不良から起こる下痢
などその後に自分に起こる問題に気がついていることもあるでしょう。
風味や嗜好性を高めるために動物性油脂でコーティングされたドライフードを前に食欲がわかないのも当然のことです。
シニアになり、ドライフードを食べてくれない、少食や偏食が目立つ場合は年齢に応じた食事の見直しを進めてゆきましょう。
一見難しく思えるこの考え方ですが、実は人間とまるで同じです。人間も若く健康な時期はスナック菓子やスイーツ、ファーストフードを好んだり、食事量も多く、食欲旺盛です。でも次第に歳を重ねると食欲は安定し、脂っこい食べ物よりもさっぱりとした食事を選ぶようになります。もちろん食事量も自然と減少します。
愛犬の年齢を人間に換算すると何歳程度か?
人間であればどのような食を好むのか?
こう考えてみると、愛犬の食が進まない理由もわかりやすくなるでしょう。
シニア期の少食や偏食の解消のためには
ドッグフードのパッケージには
・原材料
・成分表示
・販売会社
・製造国、製造元
など様々な情報が記載されています。この項目から成分表示に着目してみてください。
成分表示欄にはこのドッグフードに含まれている栄養素の配合率が記載されています。
今与えているドッグフードが体質に合わない場合は、
- 今与えているドッグフードの成分表示欄で脂質の%を調べる
- 今与えているドッグフードよりも脂質含有量の少ないドライフードを新たに購入する
- 一週間程度をかけて徐々に新しいフードに切り替える
という方法がおすすめです。
一見すると同じ様に見えるドライフードでも脂質含有量は製品によって様々です。脂質は消化吸収に負担がかかりやすいので、シニア犬には脂質控えめなドッグフードがオススメです。
■3歳以上は要注意!歯垢や歯石が原因で少食偏食が増加
愛犬を抱っこした時、愛犬に手や顔を舐められた時、不快な臭いが気になることがありませんか?
よく見ると愛犬の歯は茶色や緑に変色し、歯の表面には固い石のような汚れが付着しているのではないでしょうか?
実は犬の口内トラブルは飼い主が思っている以上に深刻です。
歯の表面についている汚れや悪臭は、食事の食べかすが原因で増殖した雑菌が原因です。この雑菌や歯の表面に付着した汚れが石状になると、当然歯茎やその奥にある骨、内臓にまでダメージを与えます。
愛犬の口臭や歯の汚れが気になるという方は、愛犬の歯茎を見てみましょう。
・赤く腫れあがっている
・紫色に黒ずんでいる
・出血している
・歯茎が薄くなり歯の根元が見えている
ということはありませんか?
それ以前に口や歯を触られることを愛犬が全力で拒否することもあるでしょう。
歯や歯茎にトラブルを抱えている場合、その痛みは相当なものです。当然毎日の食事にさえ支障が起こり、固いドライフードを噛み砕くこともできません。
食欲に任せてドライフードを食べようとすれば、そのたびに辛い思いをするのですから、愛犬が食べることを諦めるのも当然です。
このような理由から少食や偏食を起こしている愛犬を単なるわがままと捉えては当然問題の解決はできません。
どんなに有名で風味の強いドッグフードに買い替えても結果は同じです。
口内トラブルは動物病院の処置が効果的
口内トラブルの原因となる歯垢や歯石の付着を予防するには、愛犬にこまめに歯磨きを行うことが何より効果的です。
でもこれは愛犬の歯が真白で清潔な状態にある場合にのみ効果があります。
すでに歯の表面が
・茶色く固い膜が付着している
・緑色の石化した塊が付着している
・歯茎が赤く腫れあがっている
・歯や口元に触れると激しく抵抗をする
このような場合、自宅で家族が行うお手入れだけでは問題を解決できません。
一旦付着してしまった歯垢や歯石は動物病院で除去処置を行う必要があります。
動物病院では歯垢や歯石の程度に応じて適切な処置を行ってくれます。症状がだいぶ進行している場合は、全身麻酔による歯垢や歯石の除去や抜歯という処置が行われる場合もあります。
でも歯垢や歯石は自然治癒することはなく、日々悪化の一途をたどります。単なる少食、偏食という問題にとどまる問題ではなくなってしまうので、早期に動物病院を受診しましょう。
■まとめ
これまで愛犬の少食や偏食を単なるわがままと捉えていた方も多いでしょう。でも犬が少食や偏食という症状を見せるのは、本来の食性に逆らう異常事態です。
問題が長引き、深刻化してしまう前に原因を見つけ、解決に向けた対策を講じてゆきましょう。