猫のムラ食い、好き嫌いを減らすための方法3選
家族の一員として、いつまでもずっと元気でいて欲しい大切な猫。その健康を守るために、質の良い食事を与えることはとても重要です。
なのに、何がお気に召さないのか、お気に入りのごはんやおやつは喜んで食べるのに、それ以外の食べ物には全く口をつけない、
好き嫌いや、食べ物に対するこだわりが強い猫にお悩みの飼い主さんは多いと思います。
そこで今回は、猫のむら食いや、好き嫌いを少しでも減らすための方法をそれぞれ3つ、ご紹介したいと思います!
もくじ
■どうして、猫はむら食いをするの?
1、むら食いしやすい習性だから
なぜ、私たち飼い主は猫のむら食いや好き嫌いが気になるのでしょうか?
例えば、犬を飼育しても、猫を飼育している人ほど、むら食いや好き嫌いを気にしている人は少ないようです。
また、私たち人間もよほど食べ物に対する好き嫌いが多い人や、異様に食べ物に対するこだわりがある人もごく少数派です。
なのに、同じ哺乳類であるにも関わらず、どうして猫には、むら食いや好き嫌いが激しいコが多いのでしょうか?
実は、猫は、むら食いをしやすい習性を持っている動物なのです。
ですから、「猫はむら食いする動物だから仕方ない」と、飼い主さんが思い込んでしまうのも無理はありません。
けれども、完全にむら食いを容認し、好き嫌いを改善しないで、猫が食べたいものを食べたいだけ食べさせることが、
猫の命を縮めることになるとしたらどうでしょう?
かけがえのない家族の一員として大切な猫には、いつまでも、元気で長生きしてほしいと、全ての飼い主さんが願っている筈です。
そのためには、良質な食事を適量摂取すること絶対に欠かせません。
少しでも、猫のむら食いや好き嫌いに対処し、改善していくために、
なぜ、猫はむら食いをする習性があるのかを知っておきましょう。
2、新しいものを警戒する習性「ネオフォビア」
「ネオフォビア」とは、これまでの生活環境が変わったり、知らない人を見たりと言った、経験したことのないことに対して、不安や恐れを感じる心理的傾向のことを言います。
例えば、「ネオフォビア」に影響されて現れる行動として、病気やケガを負った時、あるいは慣れない環境に連れてこられた時などに、普段、慣れ親しんだ食べ物も食べなくなると、ということがあります。
この「ネオフォビア」は、慣れない環境や不安を感じる状況に対して、
毒性のあるものを誤食誤飲しないようにする本能的なに反応です。
それと同時に、絶対的な安心感を感じていたころの食べ物を食べたい、と言う欲求が生じて、それ以外のものを食べる気にならないという、一種の赤ちゃん返りとも考えられています。
2、新しいモノに心惹かれる習性「ネオフォリア」
「ネオフォビア」とは逆に、「ネオファリア」は、新しいモノに強く興味を持つことを言います。
例えば、「新しいご飯が食べたいから、前に食べていたごはんはいらない」
あるいは「新しいおもちゃがあるから、古いおもちゃで遊びたくない」と言った心理です。
3、食物嫌悪症
ご飯を食べた後に、吐いてしまって体調が悪くなるなどの経験をした猫は、
「食物嫌悪症」と言って、嫌な経験をした時に食べたフードなどを食べなくなることが
あります。
4、満腹感
猫は、食べ始めるとすぐに満腹を感じる動物です。
そのため、ご飯を食べ始めてすぐに、「もう満腹で食べられないや」と感じて、
食べるのを止めてしまいます。
5、食べ飽き
猫にとって食べ飽きとは、本能的に求める栄養バランスではないフードを食べ続けると、飽きてしまう、という現象です。
一説によると、猫は本能的に今、自分にとって必要な栄養素がわかる能力がある、と言われています。
そのため、「今、この栄養は体の中に十分足りているから、必要はない」と感じていれば
食べなくなり、逆に「今、体に足りてない栄養素があるから、別のご飯を食べなければ」と言う欲求をするのかも知れません。
原因によって対処法を変える
つまり、猫がご飯を食べたり、食べなかったり、という行動は、
ただの気まぐれやわがままではありません。
確かに、飼い主さんにとっては、「どうして昨日まで食べていたのに食べないの?」と
思ったり、逆に「昨日まで見向きもしなかったのに、どうして急に食べだしたの?」と
猫に振り回されているような気持ちになるでしょう。
けれども、猫のむら食いには、猫なりの理由や原因が必ずあり、
猫は、飼い主さんを困らせようとしているワケではないのです。
むら食いを減らすための方法 3つ
1、ごはんの質を見直す
一般的に、猫は炭水化物が多いフードよりも、タンパク質が多く含まれているフードを好む傾向があります。
もし、「うちの猫はむら食いがひどい」と感じているのであれば、
一度、しっかりとご飯の質や量、カロリーを見直してみましょう。
基本的なことですが、まず、猫が一日に必要なカロリーをご存じでしょうか?
シニア期の猫さんや、腎臓に問題のある猫さんと一緒に暮らしている飼い主さんなら、よくご存じだと思いますが、意外なことに若く、健康な猫の飼い主さんほど、猫の摂取カロリーや、必要な栄養素や摂りすぎてはいけない栄養素などについてご存じない場合が多いようです。
もちろん、体の大きさ、年齢、普段の運動量などによって違いがありますが、
一般的な体の大きさの大人の猫なら、体重1キロに対して約52~64キロカロリー程度が望ましいと言われています。
もちろん、ぽっちゃりしてふくよかな猫なら、おやつを控えたり、
低カロリーのフードを与えるなど減量させる必要があります。
ただし、カロリーにだけ注意を払うのではありません。
猫にとって、必要な栄養素は
・タンパク質、
・脂肪
・ビタミン
・ミネラル
・炭水化物 の5つです。
これらは、5大栄養素と言って、私たち人間にも欠かせません。
私たちと猫との大きな違いは、猫にとって一番大切なのは、
タンパク質の必要量です。
ノルウェージャンやメインクーンのような大型の猫ではなく、平均的な猫の猫の体重は、3~5キロですので、猫が最低限必要なたんぱく質の量は、
約9から15グラム程度、ということになります。
タンパク質以外にも、それぞれの栄養素に役割があり、必要摂取量もおおむね、
算出できるので、今、猫に与えているフードで、一日に十分な栄養素が摂れているかどうかを調べてみましょう。
2、安心して食べられる環境を作る
多頭飼育をしていたり、猫以外に犬などの動物も一緒に暮らしていたり、
小さな子どもさんがいて、猫が落ち着いて食事ができる場所がない、ということがあります。
誰にも邪魔されずに、心行くまで食事が楽しめる環境を作れば、むら食いをする猫も落ち着いて食事をするようになることがあります。
少し薄暗く、狭い場所に食器を置き、猫が食べている間は、邪魔しないように
安心して食べられる環境を整えてあげましょう。
3、食事の時間や量を管理する
「置き餌」と言う言葉があるように、犬を飼育している時には耳にすることはない、
独特な猫の食事の与え方があります。
文字通り、「餌」を置きっぱなし、出しっぱなしにすることを言い、猫から
すれば、いつでも、好きな時に好きなだけ、食事が出来るスタイルを言います。
この方法は、猫が一度でたくさん食べられないため、多くのエネルギーを
消費する大型の猫には向いています。
けれども、置き餌という方法は、猫が肥満になりやすかったり、
餌自体が腐ってしまうというデメリットがある上、
猫がいつ、どのくらい食べたかを飼い主さんが把握しにくいというデメリットも
あります。
なにより、猫のむら食いに悩んでいるのであれば、猫がどんなタイミングで
どれだけ食べたかをしっかり把握する必要があります。
そのため、まず、置き餌を止めて、決まった時間に食べられるだけの量を用意するようにしましょう。
最初は、「ごはんは?」と催促したり、おねだりしたりするかも知れません。
その時は、ほんの少量だけを与え、徐々にそれも減らしていき、最終的には
食事時間以外にご飯は食べれない、と猫が理解するまで、我慢比べになる
かも知れませんが、猫のためだと思って、乗り切ってください。
ごはんの好き嫌いをすることのリスク
1、避難時に栄養が摂れない
日本には、明確な四季があり、特に現代では、夏は豪雨、秋は台風、冬は豪雪、天災では地震など、自然災害に見舞われることが多い国です。
いつ、猫を連れて避難し、そのまま家に戻れずに避難所に留まらなければならなくなるかわかりません。
もちろん、その時に備えて備蓄をすることもとても大切ですが、もし、普段食べ慣れたフードを持ち出すことが出来なかったら、支給されるフードやご飯を猫に食べさせるしかありません。
その時に、もし、好き嫌いが激しい猫だと、非常時で緊張していることもあり、
一切、食事を摂らなくなる恐れがあります。
そうなると、例え、栄養が採れなくなり、衰弱してしまったり、水すら飲まなくなったら、
脱水症状でさらに深刻な状況に陥ってしまうかも知れません。
2、年齢や疾患に合わせた食事を与えられない
人間も、歳を重ねると代謝が落ちて、太りやすくなったり、血圧が上がって心臓に負担がかかったりしはじめると、食事の質を見直します。
カロリーを抑え、消化しやすく、塩分も控えた食事を摂ることで、内臓への負担も
軽くなります。
猫も同じで、加齢によって食事の質を変えていく必要があります。
ところが、食べ物の好き嫌いが激しいと、食事の移行がなかなかうまく進みません。
本来、塩分を控えた食事を摂らなければいけないのに、そのためのフードを受け付けず、
「これしか食べないから」と言って、疾患に配慮しないフードを与えていては、
結果として、猫の命を縮めることになります。
3、栄養が偏る
例え好き嫌いが激しくて、「このキャットフードメーカーのこの味のフードしか食べない」と、総合栄養食のフードを食べている、というケースも、あまり良いことではありません。けれども、それ以上に「人間用の鯖缶しか食べない」とか、「キャットフードにかつおぶしをトッピングしないと食べない」「お刺身しか食べない」と言う例は、猫の体にとって、とても悪いこだわりです。
「猫なんだから、魚だけ食べていればいい」というワケではなく、
先ほども述べたとおり、猫には、人間同様に五体栄養素を摂取する必要があるからです。
「お刺身だけ」だと、魚の種類や部位にもよりますが、炭水化物が摂れませんし、
人間用の鯖缶ばかり食べていると、鯖に含まれる飽和脂肪酸がたくさん含まれており、
魚しか食べていないことでビタミンも不足して、猫の体内で脂肪が
酸化します。そうすると、「イエローファット」あるいは
「黄色脂肪症」という腹部にたくさんの脂肪の塊が出来てしまう病気なってしまいます。
猫に味覚はあるの?
1、猫が好きな味とは?
猫だけに限ったことではなく、ほとんどの動物にも言えることですが、
食べ物を摂取する際、ニオイ、味、温度や口当たりなどを、嗅覚、触感、味覚などを使って味わっています。
塩味が濃いもの、人間なら少し魚臭いと感じるようなものなどが好き、など、
猫1匹1匹に個性があるように、好き嫌いにも個性があります。
特に、猫は非常に嗅覚が優れた動物ですから、味よりもむしろ
「強烈な魚や肉のにおい」がして、それを食べれば口いっぱいにその食べ物のニオイが広がるような食べ物をより好む傾向があります。
2、猫が嫌いな味とは?
「嫌いな食べ物」と言うよりも、「食べたことのない食べ物」を食べることに抵抗がある
猫が多いようです。
猫の好き嫌いを減らすための方法 3つ
1、同じものを継続して与えない
猫が喜んで食べるからと言って、いつも同じフードやご飯を与えるのではなく、
日替わりで違う種類を食べさせたり、トッピングを変えたりして、
いろいろな味に慣れさせましょう。
2、フードの種類を変える時の工夫
ドライフードにしろ、ウェットタイプにしろ、あるいは手作りにしろ、
初めて食べる時には、警戒してなかなかむしゃむしゃ食べてはくれないものです。
そういう時には、普段食べ慣れているものを少しだけフードボールに入れて、
隣に新しいタイプのご飯を入れておいて置く方法や、
あるいは、混ぜて少しづつ、配合を変えながらフードの種類を移行していく、という
方法があります。
また、ドライフードなどを食べ慣れない時や、食べたことのないウェットフードを食べさせる時には、人肌よりもすこしぬるい程度に温めると、ニオイが立ち上って、
食欲がそそられ、食べてくれることがあります。
3、食べやすいフードボールを使う
床に直置きするよりも、適度な高さと傾斜がある方が、食事が飲み込みやすく、
猫にとっては、食べやすいようです。
少しでも、食事を摂る際のストレスを軽減できるように、猫の体の大きさに合わせて、ちょうどよい高さと傾斜のあるフードボールを選んで、使ってみましょう。
まとめ
「猫だからむら食いは当たり前」「猫だから、好き嫌いは当たり前」と思って諦めてしまうのは、結局、何も対処しないのと同じことです。猫は気まぐれでわがままなだけの動物ではありません。私たちの感情に寄り添える感性もしっかり持って生まれてきてくれた宝物です。幸せに健康な毎日を長く暮らすためにも、むら食いや食べ物の好き嫌いがあまりにも激しい場合ほど、諦めず、根競べにも負けず、ゆるやかでも改善出来るように
出来る限りの努力をしましょう。