ドッグトレーナーが解説!犬がストレスを感じるときの行動と対処方法
愛犬には、いつもストレスなく快適な生活をしてほしいものです。
そのためには、犬のストレスサインをいち早く見抜く必要があります。
この記事では、犬がストレスを感じるときの行動や対処方法について見ていきましょう。
犬がストレスを感じるときに見せる行動
まずは、犬がストレスを感じるときに見せる行動についてご紹介します。
これらの行動をしたからといって、かならずしも犬がストレスを感じているわけではありません。
しかし、何度も繰り返すようであれば、犬はストレスを抱えているということがわかります。
あくびをする
犬があくびをしたり身体を伸ばしたりするのは、ストレスを感じているサインかもしれません。
あくびは、自分自身を無理やりリラックスさせる効果があるといわれています。
もちろんただ単に眠い場合もあるでしょうが、あくびはストレスを感じるときにも多く見られます。
飼い主から叱られたときに犬があくびをしていると、「本当に反省しているの?」と不安になるでしょう。
しかし、飼い主に叱られたことで自分を落ち着かせようとあくびをしている可能性があります。
執拗にグルーミングをする
犬が自分の身体を舐めたり掻いたりするのは、自分の被毛をきれいにするときやかゆいところを掻くときに見られます。
また、怪我や痛みを和らげようとしているときにもグルーミングをすることがあるでしょう。
しかし、犬が執拗にグルーミングしているようであれば、それはストレスが原因かもしれません。
攻撃的になる
犬が強いストレスを感じると、攻撃的になることがあります。
私たち人間もそうですが、精神面や金銭面に不安があるときはイライラしてしまうものです。
犬も同様に、肉体的や精神的なストレスを感じると、相手に対して攻撃的になります。
普段は大人しい犬が何度も吠えたり唸ったりする場合は、なんらかの対処をする必要があるでしょう。
飼い主に対して攻撃的になる分にはまだよいですが、ほかの人や犬に対しても同様であればトラブルに発展することも考えられます。
息遣いが荒くなる
犬はストレスを感じると、息遣いが荒くなることがあります。
私たち人間も、極度の緊張を感じると息遣いが荒くなってしまうことがあるでしょう。
人間は深呼吸をするなどして気持ちを落ち着かせようとしますが、犬は深呼吸という概念がないため、息遣いが荒くなってしまいます。
鼻や肉球に汗をかく
これも人間と同じですが、犬もストレスを感じると汗をかくことがあります。
犬は汗腺が少なく、鼻と肉球にしかないといわれています。
そのため、犬はストレスを感じて汗が出るといっても、鼻と肉球からしか汗が出ることはありません。
自分の尻尾を追い回す
犬が自分の尻尾を追い回すようにぐるぐるとしているのは、ストレスを感じているときの行動として有名です。
このように、同じことを何度も繰り返すのは、犬がストレスを感じているサインといえます。
身体を震わせる
犬がストレスを感じる原因の詳細は後述しますが、犬は緊張をすることにより身体を震わせることがあります。
主に緊張で身体を震わせるのは、動物病院などでしょう。
動物病院は嫌なことがある場所だと認識しているからでしょうが、ほかにもはじめて訪れる場所などでも身体を震わせることがあるはずです。
犬が身体を震わせているのは、何かに不安を感じていたり怖がったりしているときなので、優しく対処してあげる必要があります。
血尿や血便が出る
私たち人間も、血尿や血便が出るのはストレスのサインです。
一度だけ血尿や血便をしただけなら、なにかよくないものを食べただけかもしれません。
しかし、それが何日も続くようであれば注意する必要があります。
血尿や血便などは、なんらかの病気の症状である可能性もあるでしょう。
体調不良
犬がぐったりと元気がなさそうにしている、下痢や嘔吐をするなどをしたときには、ストレスを疑ったほうがよいかもしれません。
体調不良はストレスのほか、さまざまな病気の初期症状としても現れます。
犬は基本的に、少しの体調不良であれば食欲や元気はあるはずです。
しかし、ぐったりとしているときにはなんらかの異常が現れているサインでしょう。
そのため、正しい対処をしなければ犬を危険に晒してしまう可能性もあります。
犬がストレスを感じる原因
次に、犬がストレスを感じる原因についてご説明します。
原因を特定することで、正しい対処もできるはずです。
飼い主との時間が足りないから
犬は飼い主とのコミュニケーションの時間が足りないと、ストレスを感じます。
犬はもともと集団で生活をしていたこともあり、ひとりで行動することに慣れていません。
そのため、信頼する飼い主とコミュニケーションが取れなければ精神的にパニックになってしまうこともあります。
愛犬とのコミュニケーションは、ストレスを感じさせないようにすることのほか、しつけをしやすくすることにも繋がるでしょう。
また、留守番をしている時間が長いときにも犬は大きなストレスを感じます。
飼い主との信頼関係が築かれていないから
先述したように、犬は集団で生活をする動物です。
そのため、絶対的なリーダーがいなければ精神的に安定しなくなってしまいます。
飼い主が犬と信頼関係が築かれていないときは、犬はどうすればよいかわからなくなりストレスを抱えてしまうでしょう。
犬との信頼関係を築くことができなければ、犬がリーダーになろうとする可能性もあります。
そうすると、飼い主のことを下に見て問題行動をすることもありますので、注意が必要です。
怪我をしているから
犬は痛みを感じることが、ストレスに繋がります。
そのため、犬がどこかに痛みを感じていないか、日頃からチェックする必要があるでしょう。
しかし、犬は痛みを隠す習性があります。
これは、野生のときに相手に痛みを感じることがバレたら攻撃されてしまうからと考えられます。
生活環境が変わったから
犬が飼い主といれば、ある程度精神的な安定はするといわれています。
しかし、引っ越しなどで生活環境が変わった場合には、やはり私たち人間と同様にストレスを感じてしまうでしょう。
引っ越しをしないことが一番よいでしょうが、転勤などで引っ越しをせざるを得なくなったときには、犬のストレスが溜まらないような配慮が必要です。
大きな音がしたから
犬は、雷や花火などの大きな音が嫌いです。
嫌いでないにしても、大きな音が好きだという犬は少ないでしょう。
飼い主に叱られたから
犬は飼い主に叱られると、少なからずストレスを感じます。
犬はその場の空気を感じ取ることができるため、飼い主に叱られると「自分はいま叱られているんだ」と理解するはずです。
飼い主としてはしつけのつもりでも、犬からすれば大きなストレスを感じるだけになっている可能性があります。
犬を叱る際のコツは、説教をするように長々と叱らないことです。
説教は、犬にとってなんの意味もありません。
犬はなぜ自分が叱られているのかわからないまま、ただストレスだけが溜まっていってしまうでしょう。
飼い主に甘やかされているから
犬が飼い主に叱られるとストレスを感じることは、誰でもなんとなくわかるでしょう。
しかし、飼い主に甘やかされていても犬はストレスを感じます。
もちろん、飼い主に可愛がられているときに犬はストレスを感じることはありません。
ですが、日頃から飼い主に甘やかされて育っているからこそ、飼い主がいなくなった瞬間に大きな不安を感じてストレスに繋がります。
飼い主に執拗に構われているから
私たち人間もそうですが、たまにはひとりになりたい瞬間があります。
犬も同様に、飼い主と遊びたくない気分のこともあるでしょう。
しかし、毎日執拗にベタベタと飼い主から触られていると、犬は大きなストレスとなってしまいます。
自分の落ち着く場所がないから
犬は縄張り意識が強い動物なので、自分の居場所がなければストレスを感じてしまいます。
部屋にケージやサークルなど、自分のにおいしかしない場所があれば、犬は落ち着くはずです。
しかし、自分の落ち着く場所がなければ、犬はどこで寝たらよいのかわからなくなり、ストレスを感じてしまいます。
飼い主がストレスを感じているから
先述したように、犬はその場の空気を感じ取ることができます。
また、絶対的なリーダーと気持ちを共有する傾向にあります。
そのため、飼い主がストレスや不安を感じていると、犬も同様にストレスを感じるでしょう。
逆に、飼い主が楽観的でストレスを感じないような性格であれば、犬もストレスを感じることは少ないはずです。
犬がストレスを感じているときの対処方法
最後に、犬がストレスを感じているときの対処方法をご紹介します。
これらをすることで、犬はストレスを感じずに楽しく生活をすることができるでしょう。
思い切りいっしょに遊ぶ
犬のストレス解消方法としてもっとも効果的なのが、飼い主といっしょに思い切り遊ぶことでしょう。
犬と思い切り遊ぶことで、ストレス解消のほかに飼い主との信頼関係の構築にも繋がります。
思い切り遊ぶ方法として、ドッグランや公園などでいっしょに走り回るのがおすすめです。
走り回ることで、運動不足解消にもなるでしょう。
また、日頃からアジリティーやフリスビーなどのドッグスポーツにチャレンジするのもよさそうです。
犬の身体をマッサージする
マッサージというと大袈裟ですが、犬の身体を優しく触るのもストレスを感じているときの対処方法としておすすめです。
手足やお腹などを優しくマッサージすることで、犬はリラックスできるでしょう。
また、その際に犬が「キャイン!」と痛がるような素振りを見せたら、どこかを怪我している可能性が考えられます。
このように、犬とのスキンシップは犬の異常をいち早く見つけることもできるのです。
ケージやサークルを設置する
犬の落ち着く場所を作ってあげることで、犬のストレスが溜まりにくい環境にすることができます。
ケージやサークルを設置して、犬のお気に入りのおもちゃやベッドなどを置いてあげましょう。
留守番時にケージに入れておくことで、飼い主と離れることへの不安も和らげることができます。
ちなみに、これは犬の留守番中のイタズラ防止にも繋がるでしょう。
飼い主が堂々とする
犬は飼い主の顔色を窺って生活をしているため、ストレスを溜めこまないようにしましょう。
また、雷や花火などの大きな音にも動じてはいけません。
飼い主が堂々と生活をすることで、犬は「これは別に怖くないんだ」と理解して物怖じしない性格になり、結果的にストレスの感じにくい性格になっていくでしょう。
動物病院へ連れて行く
犬が痛みや病気によりストレスを感じているのであれば、一度動物病院へ連れて行きましょう。
動物病院へ連れて行った際には、犬の日頃の様子や、感じた異常を伝えます。
もしも犬とスキンシップをしているときに犬が特定の部位を触ったときにだけ嫌がるようであれば、それも併せて伝えましょう。
アメとムチを使い分ける
犬を叱ってばかり、もしくは甘やかしてばかりいるのは犬のストレスの原因となります。
そのため、アメとムチを使い分けて犬と接することが大切です。
犬がイタズラをしたときには、「こら!」や「いけない!」などといい、無駄な説教はしてはいけません。
また、犬を褒めるときは、飼い主の要求に応えたときだけにしましょう。
もしも犬におやつを与えたいのであれば、「おすわり」などで犬を座らせて、できたときに褒めてあげて、ご褒美としておやつを与えることがおすすめです。
そうすることで、犬が飼い主を魅力のある人だと感じてくれるでしょう。
そして、犬は徐々に飼い主が絶対的なリーダーと理解してくれるようになります。
まとめ
犬がストレスを感じる原因は、さまざまです。
大切なのは、犬がストレスを感じる原因を取り除いてあげるということです。
もちろん、犬がストレスを感じないような生活環境にすることもよいでしょう。
犬がストレスを感じているときのサインを見せたら、飼い主としてなにが原因になっているのかを考える必要があります。
運動不足や飼い主とのコミュニケーション不足が原因であればいっしょに外で遊んであげればよいですし、体調不良であれば動物病院へ連れて行きましょう。
日頃から犬の様子をチェックしておくことで、感じたストレスもすぐに解消されていくはずです。