ドッグトレーナーが教える!犬がイタズラをする理由と止めさせる方法

愛犬のイタズラに、頭を悩まされている人は多いものです。

例えば留守中に家具や家電を壊したり、家の柱を噛んだりすることが挙げられます。

この記事では、犬がイタズラをする理由と止めさせる方法について見ていきましょう。

 

犬がイタズラをする理由

まずは、犬がイタズラをする理由について見ていきましょう。

理由がわかることは、正しい止めさせ方にも繋がるはずです。

 

美味しそうなにおいがするから

 

犬がゴミ箱を荒らしたり飼い主の食事を盗み食いしたりしようとするのは、美味しそうなにおいがするからだと考えられます。

犬は嗅覚が優れているため、生ゴミを袋に入れていてもにおいを嗅ぎ分けることが可能です。

また、犬は腐った食べ物による酸味を毒だとは認識しません。

これは犬の味覚が関係しており、野生で生きていたころに食べ残しを地面に埋めていたからと考えられています。

そのため、生ゴミであっても躊躇せず食べてしまうこともあるでしょう。

犬が体調不良にならないようにするためにも、生ゴミの処理はしっかりとしないといけません。

 

歯がかゆいから

 

子犬は生後4ヶ月頃から、乳歯から永久歯へと生え変わります。

歯の生え変わりの時期は、私たち人間の子どもと同じように歯がむずがゆくなります。

歯のむずがゆさを解消するために、子犬は硬いものを噛もうとするでしょう。

近くに硬いおもちゃがあればよいですが、そうでない場合は家具や家電などで歯のむずがゆさを解消しようとします。

子犬であれば仕方のないことかもしれませんが、コード類を噛んでしまい発火や感電に繋がることもあるため、注意しなければなりません。

もちろん、家具や家電で歯のむずがゆさを解消されてしまうと、家具や家電の破損にも繋がります。

 

遊んでいるだけ

 

私たち人間から見ると、犬がティッシュやトイレットペーパーをイタズラしていると「なんてことをするんだ!」と感じてしまうはずです。

しかし、犬にとってティッシュやトイレットペーパーは何物でもなく、ただのおもちゃとして認識している可能性があります。

そのため、犬はイタズラをしているという感覚はなく、ただ単に遊んでいるだけなのかもしれません。

もしかしたら、それは犬から飼い主への「もっと遊んでよ!」というメッセージなのかもしれません。

 

なにかが動いて気になるから

 

犬種によっては、狩猟犬として活躍していたこともありました。

そのため、家族の一員として飼われるようになってからも、生活をしていて狩猟本能が目覚めてしまうことがあるはずです。

虫が飛んでいると、動くものに気を取られて追いかけてしまう犬もいるでしょう。

夢中で虫を追いかけているうちに、家具や家電に傷がついてしまうことも考えられます。

 

ストレスが溜まっているから

 

犬はストレスが溜まることで、イタズラをしてしまうことがあります。

私たち人間も、運動不足になると無性に走り出したくなることがあるでしょう。

それと同じような気持ちで、犬はストレスを抱えることによりイタズラで気分転換をしているのかもしれません。

もちろん、ストレスの原因はさまざまです。

毎日の散歩時間が不足していることや、飼い主とのコミュニケーション不足もあるでしょう。

また、引っ越しなどで生活環境が変わったときにも犬はストレスを感じます。

犬のストレスの原因を知ることで、犬のイタズラへの正しい対処もできるはずです。

 

分離不安

 

分離不安というのは、犬の精神的な病気のことです。

飼い主に依存しすぎてしまい、飼い主と離れることによりパニックになることで、イタズラをしているのかもしれません。

分離不安の原因は、犬が寂しがり屋の性格である場合もありますが、多くは飼い主にあるといわれています。

 

飼い主に構ってほしいから

 

犬がイタズラをしたときに、どのように対処をするでしょうか。

おそらく、ほとんどの人は「こら!」などと犬を叱ってしまうか、「あー!」などと慌ててしまうはずです。

この対処こそ、犬がイタズラをする原因といえます。

犬は飼い主に構ってほしいがために、イタズラをしている可能性があるでしょう。

例えば、なにかを咥えて走っていれば飼い主が追いかけてくれます。

すると犬は「追いかけっこ」をしているという感覚で、楽しんで逃げているでしょう。

このように、犬は飼い主に構ってほしいという欲求を満たすためにイタズラをしているのかもしれません。

 

飼い主の反応が面白いから

 

犬は、飼い主の反応が面白いためイタズラをしている可能性があります。

飼い主が慌てている姿を見ると、ついイタズラ心に火が付いてしまうのかもしれません。

もちろんこれはよい傾向ではなく、飼い主との上下関係が逆転してしまっていることも考えられます。

飼い主のことを信頼している犬であれば、飼い主に褒められるために自ら行動をすることはありません。

すべては、飼い主の命令に応えて褒めてもらうために行動します。

そのため、飼い主の反応を面白がっている犬は根本的にしつけから見直したほうがよいともいえるでしょう。

 

犬のイタズラを止めさせる方法

それでは本題である、イタズラを止めさせる方法について解説します。

大切なのは、犬がイタズラをする理由を理解して、根本から解決することです。

 

すぐに注意したあとに無視をする

 

犬のイタズラを現行犯で見つけた場合には、すぐにその場で注意しましょう。

犬を叱る際は、人間のように「あのとき…」という叱り方をしても無意味です。

かならず、イタズラをした瞬間に注意しましょう。

また、犬のイタズラを叱るときのコツは、犬に怒りを伝えるということです。

低く大きな声で、「こら!」や「いけない!」などといいます。

そして、犬を叱ったあとには無視をしましょう。

そうすることで、犬は「飼い主に叱られたあとに無視をされる、それならイタズラをしないほうがいいや」と理解するはずです。

特に、飼い主の反応が面白かったり構ってほしかったりする犬には、この方法が効果的でしょう。

 

無視をする

 

犬を叱りたくない人は、無視だけをしても効果的でしょう。

ここで大切なのは、犬の目を見ずにイタズラをされたものを淡々と片付けることです。

犬は飼い主と遊ぶことや声をかけられることが大好きなので、飼い主がアイコンタクトをしてくれずに無視をされるということは、叱られていると理解するはずです。

ただし、犬との信頼関係が築けていなければ無視をしても意味がありません。

むしろ、「この人は遊んでもくれないし、つまらない人だ」と認識され、さらに反抗は続いていくかもしれません。

 

死角から物を投げる

 

犬がイタズラを止めさせるときに、小道具を使う方法もあります。

まずは、空き缶におはじきやビー玉などを数個入れたものを用意しましょう。

そして犬がイタズラを始めたら、犬の死角から空き缶を犬の近くに投げつけます。

すると犬は空き缶の大きな音に驚いて、いたずらを止めるでしょう。

これを何度も続けることで、犬は「イタズラをすると嫌なことが起きる」と認識して、徐々にイタズラをしなくなるはずです。

ただし、飼い主が投げているということを見られないようにしましょう。

飼い主が投げていることがバレてしまったら、「飼い主は嫌なことをする人だ!」と理解され、信頼関係が崩れてしまいます。

 

ストレス解消をする

 

犬のストレスが溜まっていることでイタズラをしているのであれば、根本的な原因であるストレスを解消してあげる必要があります。

休日にドッグランや広い公園で思い切り走らせてあげるのもよいでしょうし、毎日の散歩時間を長くするのもおすすめです。

なにより犬は飼い主とのコミュニケーションを求めているはずですので、日頃から犬と触れ合う時間を増やすことで、精神的に満足された犬はイタズラをしなくなるでしょう。

 

 

噛みごたえのあるおもちゃを用意する

 

歯がむずがゆいと感じる子犬のために、程よい硬さのおもちゃを用意してあげましょう。

木のおもちゃや動物の骨など、噛みごたえのあるおもちゃを与えることで、家具や家電を噛まなくなることが期待できます。

 

過剰に構いすぎない

 

分離不安によるパニック症状からイタズラをしている犬には、過剰に構いすぎてはいけません。

おそらく、犬は留守番中以外にも飼い主がトイレに行くだけでも不安を感じているはずです。

犬が飼い主に依存しすぎることにより、分離不安は起きてしまいます。

そのため、犬をある程度独り立ちさせる必要があるでしょう。

外出時に犬に声をかけるのを止めることも大切ですし、帰宅時に一目散に犬に声をかけるのではなく、手洗いうがいをして着替えたあとに犬を構うのもおすすめです。

 

イタズラ防止スプレーを使用する

 

犬は苦味を毒と感じるため、それを利用してイタズラを止めさせる方法もあります。

イタズラ防止スプレーという、犬にとって無害な苦味のある成分の含まれたスプレーを使用しましょう。

それを、犬にイタズラをされたくない場所に吹きかけます。

そうすることで、犬がイタズラをしたときに苦味を感じて「ここを噛んだら身体に毒だ」と理解してイタズラが治まることが期待できるでしょう。

 

サークルやケージに慣れさせる

 

犬に留守番をさせるときには、サークルやケージに入れておくと物理的にイタズラができなくなります。

そのため、日頃からサークルやケージに慣れさせておくことがおすすめです。

飼い主が室内にいるときにもサークルやケージで過ごす時間を作り、サークルやケージの中が安全であることを理解してもらいます。

そうすることで、犬は留守番中にサークルやケージに入っていてもストレスを感じにくくなるでしょう。

ただし、もちろんサークルやケージにはトイレシートや飲み水などは用意するようにしてください。

 

 

犬のイタズラを止めさせる際の注意点

最後に、犬のイタズラを止めさせる際の注意点についても見ていきましょう。

せっかく犬がイタズラを止めたとしても、飼い主のことを恐怖に感じたり信頼関係が崩れたりするのはよくありません。

 

 

ひとつの言葉で叱る

 

イタズラをしている犬を叱るときには、ひとつの言葉で叱るようにしましょう。

家族によって「こら!」「ダメ!」などと使い分けていると、犬はパニックになってしまいます。

そのため、犬を叱る言葉はかならずひとつに絞りましょう。

 

 

部屋をきれいにしておく

 

そもそも、部屋に物が落ちているから犬はイタズラをするのかもしれません。

部屋をきれいにしておくことで、犬はイタズラをしなくなることも考えられます。

犬のイタズラの原因はすべて犬にあるという意識を変えて、飼い主側でも努力できることはしましょう。

 

犬とのコミュニケーションを大切にする

 

犬のイタズラに悩んでいるからといって、むやみに犬を叱るのは止めましょう。

犬にとって頼れる人は、飼い主しかいません。

その飼い主から何度も叱られるというのは、犬が自分に自信がなくなってしまいます。

私たち人間には家族や友人など、頼れる人はたくさんいるでしょうが、犬には自分しかいないということを意識して生活しましょう。

そうすることで、犬を叱ってばかりではなく、褒めたり遊んだりしなければならないと考えるようになるはずです。

 

 

説教はしない

 

これはすべての犬のしつけに共通することですが、犬を叱る際は説教をしてはいけません。

私たち人間が子どもを叱るときには、なぜ悪いのかを説明しますが、犬には無意味です。

犬にとっては「いつ」飼い主に叱られたということが大切といえます。

現行犯で犬を叱ることができれば、「いまイタズラをしていて叱られたから、これはしてはいけないんだ」と理解するでしょう。

しかし説教をしてしまうと、犬はなにに対して叱られたのかを理解するなく、ただ飼い主に嫌なことをされているという認識になります。

そうすると、徐々に飼い主のことを嫌いになり、さらにイタズラはエスカレートするでしょう。

 

まとめ

犬がイタズラをするのは、かならず理由があります。

そしてその理由のほとんどは、飼い主によって直すことが可能です。

犬のストレスが溜まっているのであればいっしょに思い切り遊んであげればよいですし、留守番中のイタズラに困っているのであればケージに慣れさせてばよいのです。

まずは、犬がなぜイタズラをするのかを考えてみましょう。

さらには、飼い主になにか非がないかも考える必要があります。

そうすることで、おのずと犬がイタズラをする理由と対処方法がわかってくるはずです。

 

ケンピ

■保有資格

ドックトレーナー

■経歴

中学生時代に盲導犬の小説を読んだことにより、ドッグトレーナーを志すようになる。
ドッグトレーナ...