ドッグトレーナーが教える!子犬のしつけを始める時期と順番
はじめて子犬を飼う人であれば、「しつけはいつからすればいいの?」と悩んでしまうこともあるでしょう。
子犬のしつけは、始める時期が大切です。
タイミングを間違えると、子犬に吠え癖や噛み癖がついてしまうこともあるでしょう。
この記事では、子犬のしつけを始める時期と順番についてご説明します。
子犬のしつけを始める時期
まずは、子犬のしつけを始める時期について見てみましょう。
子犬のしつけは、始める時期によってその後のしつけにも影響してくるため、しっかりと理解しておかなければなりません。
子犬のしつけは生後3ヶ月頃を目安に始める
子犬のしつけは、生後3ヶ月頃を目安に始めるとよいでしょう。
産まれて間もないときは、ほかの兄弟犬といっしょに遊んだり走り回ったりして、犬同士のコミュニケーションでもある社会化を学びます。
生後3ヶ月になっても社会化は学び続けなければなりませんが、だいたい生後3ヶ月を目安に子犬は新たな飼い主のもとへと送り出されることが多いです。
しかし、自ら繁殖をして子犬を育てているのであれば、生後2ヶ月頃から少しずつ子犬のしつけに取り組んでもよいでしょう。
ほとんどのペットショップやブリーダーでは、子犬の譲渡は生後3ヶ月頃からです。
そのため、基本的には生後3ヶ月頃から子犬のしつけを始めることが多いでしょう。
生後3ヶ月まではひたすら可愛がる
ほとんどのペットショップやブリーダーでは、生後3ヶ月未満の子犬を取り扱ってはいません。
そのため、これは自ら繁殖をした場合に限りますが、生後3ヶ月までの子犬がそばにいるのであれば、ひたすら可愛がってあげましょう。
子犬のしつけも大切ですが、もっとも大切なのは犬がストレスなく幸せに毎日を過ごすことです。
子犬は人間にたくさん可愛がられることで、人間に苦手意識がなくなります。
「人間って優しいし、いっしょにいると楽しい!」と子犬が感じてくれれば、その後のしつけもスムーズに進むはずです。
なるべく子犬を迎えてすぐにしつけを始める
ペットショップやブリーダーで子犬を迎え入れた際には、なるべく早めにしつけを始めましょう。
後述しますが、子犬のしつけでもっとも優先的に行わなければならないのが、トイレのしつけです。
トイレのしつけは、子犬を迎え入れたその日から始めます。
詳しくは後述しますが、トイレのしつけをスムーズに行うことでその後のしつけもしやすくなるでしょう。
犬は何歳からでもしつけが可能
人によっては、犬をペットショップやブリーダーからではなく、保健所や保護施設などから迎え入れる人もいるでしょう。
そんなときに、「家族として迎え入れた犬が子犬とは呼べる年齢じゃないんだけど、もうしつけはできないの?」と考えることもあるはずです。
結論からいうと、犬のしつけは何歳からでも行うことができます。
もちろん子犬の頃からしつけを始めることで、その後のしつけもスムーズに行うことは可能ですが、高齢になった犬でも時間はかかるでしょうがしつけをできないわけではありません。
根気よく行う必要はありますが、しつけのされていない成犬を飼っている人であってもしつけにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
子犬のしつけを始める順番
次に、子犬のしつけを始める順番についてご説明します。
絶対にこうでなくてはならないというわけではありませんが、子犬のしつけをする際のひとつの参考にしてみてください。
トイレのしつけから始める
先述しましたが、子犬のしつけはトイレのしつけから始めましょう。
ペットショップやブリーダーから子犬を迎え入れたときには、すぐに家に放してあげたいという気持ちが強いはずです。
しかし、犬は移動中もずっと緊張していた気のゆるみから、家に着いた瞬間に用を足してしまうことが多いでしょう。
この子犬のトイレの失敗はとても多いものですが、このタイミングこそ子犬のトイレのしつけの絶好のタイミングであるといえます。
子犬のトイレのしつけを失敗しないためには、事前に室内にケージとトイレシートを用意しておくことが大切です。
子犬がゆっくりと寝ることができる広さのケージを用意して、ケージ一面にトイレシートを敷きましょう。
そして迎え入れたばかりの子犬をそのケージの中に入れて、用を足すのを待ちます。
子犬は数分、長くとも数十分でおしっこをするはずです。
子犬がトイレシートの上で用を足すことができたら、思い切り褒めてあげましょう。
それを何度も行うことで、子犬は「このシートの上で用を足すと褒めてもらえる」と理解するようになります。
犬の名前を覚えさせる
子犬とコミュニケーションをとるには、名前を覚えさせることが大切です。
名前を覚えさせることで、犬を呼びたいときやしつけで褒めるときなどにも役立ちます。
しかし、ここでしてしまいがちなのが、犬にさまざまな呼び方をすることです。
あだ名で呼んでも、犬は理解することはありません。
慣れてきたらよいかもしれませんが、はじめのうちは犬を正しい名前で呼ぶように心がけましょう。
あだ名など、さまざまな呼び方をすると犬は自分の名前を覚えられずにパニックになってしまいます。
犬に名前を覚えさせるには、何をするときにも名前を呼ぶことがおすすめです。
褒めるときや呼ぶときなど、さまざまなシーンで犬の名前を呼ぶことで、犬はすぐに自分の名前を理解するようになるでしょう。
生後半年頃までは社会化の勉強を意識させる
子犬が生後半年頃になるまでは、特に子犬の社会化について意識しましょう。
幼い頃に社会化を学ぶことができなければ、知らない人や犬に対して吠えたり噛んだりする犬になる可能性があります。
また、飼い主との接し方もわからずに、迷惑行為を行うようになるでしょう。
そのため、生後半年頃までは積極的にほかの人や犬と触れ合わせて、さまざまな経験をさせる必要があります。
いっしょに遊んでいるときに子犬に甘噛みをされたら、「痛い!」などとしっかりと犬に噛むとダメということを教えてあげましょう。
それを続けることにより、犬はどんなときにも臆することのない、社会化のできた犬になるはずです。
生後4ヶ月頃からはおすわりや伏せのしつけをする
子犬が生後4ヶ月頃になったら、おすわりや伏せなどの簡単なしつけを始めましょう。
この頃の子犬は、好奇心旺盛でいろいろなことにチャレンジする年齢でもあります。
逆に、これくらいの年齢の子犬にさまざまなチャレンジをさせないことは、子犬のストレスが溜まる原因にもなるでしょう。
そのため、しつけを含めて子犬にさまざまな経験をさせることが大切です。
おすわりや伏せも、子犬にとってははじめての経験であり、とても刺激を感じます。
呼びのしつけも早めに始める
子犬の呼びのしつけも、なるべく早めに始めましょう。
呼びのしつけは、ドッグランや散歩中に必要です。
呼びのしつけができていなければ、子犬が暴走したときに止めることができなくなってしまいます。
また、散歩中に子犬が突然道路に飛び出してしまったときなどにも呼びのしつけをしていれば安心でしょう。
子犬の呼びのしつけは、人の少ない公園などで行います。
ロングリードを使用して、犬に「おいで」や「こい」などといいながら、リードを自分の手元まで手繰り寄せましょう。
子犬は力が弱いため抵抗することはなく、スムーズに自分の手元まで子犬が走ってくるはずです。
そこで思い切り褒めてご褒美を与えることで、子犬は徐々に呼びのしつけが強化されていくでしょう。
身体を触られるしつけもしておこう
自分の身体を触られることに慣れていない犬といっしょに生活をすると、大変なことが多いです。
トリミングサロンに犬を連れて行くときや、動物病院での診察でも犬は身体に触られることに慣れていないため、ストレスを感じてしまうでしょう。
そのため、犬がなるべく幼いころから、身体を触られることに慣れるしつけもしておくことをおすすめします。
幼い頃であればそこまで抵抗はしないため、子犬の口元を触ったり足を触ったりして、身体に触られることに慣れさせます。
コミュニケーションがてら犬と触れ合っておくことで、犬は歯磨きやトリミングのときにも嫌がらなくなるでしょう。
子犬のしつけをする際の注意点
最後に、子犬のしつけをする際の注意点についてご紹介します。
子犬のしつけを正しく行うことで、子犬はしつけを楽しいものだと理解するはずです。
褒めるときは思い切り褒める
これは犬が何歳になっても気を付けなければならないことですが、犬を褒めるときには思い切り褒めてあげましょう。
よく、犬を褒めるときに頭を撫でながら「よしよし」と褒めている人を見かけますが、それは間違いです。
なぜなら犬は身体を撫でられることを褒められているとは理解していませんし、「よし」という言葉は犬をしつけから解放するときの合図だからです。
そのため犬を褒めるときには、犬といっしょに走り回ってご褒美を与えて、「えらい!すごい!」などと大きな声を出して褒めましょう。
また、褒める際はなるべく高い声で褒めることがおすすめです。
低い声であれば、犬は叱られていると勘違いしてしまうかもしれません。
そのため、地声が低い人であっても、犬を褒めるときにはなるべく高い声を出しましょう。
なるべく叱らない
子犬のしつけをする際は、なるべく叱ってはいけません。
なぜなら、子犬にはしつけが楽しいものだと理解してもらわなければいけないからです。
子犬の頃から叱ってしつけをしてしまうと、しつけに対してネガティブなイメージになり、成犬になってからもしつけが嫌いになってしまいます。
しかし、子犬を褒めてしつけをすると、成犬になった後も堂々としつけに取り組むようになるでしょう。
もちろん成犬になると叱ることも必要になりますが、それは生後8~9ヶ月頃からで問題ありません。
ちなみに、生後8~9ヶ月頃の犬を叱るときにも、名前を呼んで叱ることはしないようにしましょう。
名前を呼んで叱ることで、犬は自分の名前を呼ばれるとビクビクしてしまうようになります。
そのため、犬を叱るときには、しっかりと「こら!」や「いけない!」などと言葉を決めておくことがおすすめです。
子犬を叱りたいのであれば無視しよう
子犬を飼ったことがあったり、いっしょに遊んだりしたことがある人はわかるでしょうが、子犬は人間に構ってほしくて必死です。
「遊ぼうよ!」といわんばかりに飼い主に付いてきますし、そんな子犬が自分の下にきたら構ってあげたくなってしまいます。
つまり、子犬にとって飼い主に無視をされるということはとてもつまらないことなのです。
そのため、もしも子犬を叱りたいのであれば無視をしましょう。
例えば、子犬に甘噛みをされているとします。
甘噛みに反応をしてしまうと、子犬はさらに楽しくなって飼い主のことを噛もうとしてきますし、成犬になって顎の力が強くなったら噛み癖として困らされることにもなるでしょう。
子犬が甘噛みをしたときにはやめさせなければなりませんが、叱ると子犬は飼い主に対して恐怖を感じてしまうはずです。
そんなときには、子犬を無視してしまいましょう。
甘噛みをしている子犬が無視をされると、「飼い主のことを噛んだからといって遊んでくれるわけじゃないのか」と理解して、徐々に甘噛みをしなくなります。
しつけのコマンドは統一する
しつけのコマンドは、家族全員で統一するようにしましょう。
コマンドとは、犬に対する命令のことです。
しつけ用語でいえば、「おすわり」や「伏せ」などがコマンドとして挙げられます。
これらのコマンドを、家族全員で統一しなければいけません。
人によって「おすわり」を「すわれ」などといったり、「おいで」を「こい」といったりしていたら、犬は混乱してしまいます。
しつけの覚えが遅くなる原因にもなりますので、しつけのコマンドはかならず統一するようにしましょう。
まとめ
子犬のしつけは、基本的には迎え入れたその日から始まります。
トイレのしつけから始まり、社会化を学びながら徐々におすわりや伏せなどの簡単なしつけを教えていきましょう。
ただし、子犬のしつけをする際は叱ってはいけません。
「しつけは楽しいものだ!」と犬に理解してもらうためにも、なるべく叱らずに褒めてしつけに取り組むようにしましょう。