夜、ゆっくり寝てくれるにゃんこを育てる方法3選とにゃんこが好むベッドの条件とは?
猫と一緒に暮らしていると、「猫だから仕方ない…」「だって、猫だから」と諦めてしまっていることがありませんか?
その一つが、夜中に開催される「猫の運動会」。
にゃんこによっては、甘えたり、噛んだりして、飼い主さんにも
「猫の運動会」に参加しろとあの手この手を使って強制してくることもあります。
今回は、夜の運動会を卒業して、飼い主さんの眠りを妨げず、夜、ゆっくり寝てくれるにゃんこを育てる方法を3つ、ご紹介します。
もくじ
どうして、夜に運動会をするの?
まずは、ご自分のにゃんこに「夜の運動会」を卒業してもらう方法を考える前に、
なぜ「猫の運動会」が開催されるのかについて知っておきましょう。
生活サイクルが昼夜逆転しているから
猫にも、人間同様、体内時計が働いています。ただし、人間よりも多くの睡眠時間を必要とします。
夜に「猫の運動会」を開催するのは、若い猫が多く、人間で言うと、ちょうど中学生や高校生ぐらいの年齢に当たります。
人間でも、このくらいの年齢の子どもは、体内サイクルが狂いやすく、夏休みなどの長期休暇に入ると、昼夜逆転してしまうことは珍しくありません。
もともと、猫は夕方から夜にかけて行動する方が活発に動く習性を持っていますので、
人間の子ども以上に夜型になりやすいと言えます。
昼間ぐっすり寝て、夜にはギンギンに元気になってしまい、遊びたい、体を動かしたい、という衝動に突き動かされるのでしょう。
その衝動によって、夜の運動会は開催されてしまうのです。
運動が足りないから
昼夜逆転している上に、若い猫は体力が有り余っています。
ただ、衝動に突き動かされて暴れまわるだけではありません。
にゃんこからすると、「眠たくないから遊んじゃおう」ということなのかも知れません。
ストレスを発散したいから
単に昼夜逆転しているから遊び足りない、という衝動から来る「猫の運動会」なら、猫の成長を待てばいずれ収まります。
問題は、にゃんこが飼い主さんとの生活の中で、運動不足や
狩猟本能が満たされないためのストレスを抱えていて、そのために
毎晩、「猫の運動会」を始めてしまうというケースです。
猫の運動会でよく見られる行動 3選
では、具体的に「猫の運動会」の種目をご紹介しましょう。
種目名 見えない獲物へむかってジャンプ!
昼間の運動の時に見せるジャンプと、「猫の運動会」の競技種目であるジャンプは全く別物です。
昼間のジャンプには、「飛び移る」「飛び乗る」「おもちゃを捕まえる」などの目的があります。
けれども、「猫の運動会」で行われるジャンプ種目には、目的がありません。
ただ、「飛びたいから飛ぶ」だけです。
種目名 つむじ風のように全力疾走
おうちの中で飼い主さんと一緒に暮らしているにゃんこは、平常時、ほとんど全力で走ることはありません。けれども、「猫の運動会」の時は違います。
しかも、直線的に走る種目もあれば、椅子やテーブルなどの家具の間をすり抜ける障害物種目、全速力で飼い主さんの体に乗る種目など
にゃんこの運動神経をいかんなく発揮する種目がたくさんあります。
時にはにゃんこが走る衝動で、フォトスタンドや花瓶などが床に落下したり、足音を立てずに歩けるはずなのに驚くほど大きな音を立てて走ったり、深夜であろうと、お構いなしに
大騒ぎを起こします。
種目名 みんなで運動会
にゃんこにとって、私たち飼い主はどんな存在なのでしょう?
一説によると、にゃんこは私たち人間を「二本足で歩く変わった姿をしているにゃんこ」と思っているのだとか。
特に、ご自分のにゃんこが何を欲しがっているか、何をしたいのかを確実に理解出来る飼い主さんなら、にゃんこは自分と同じ種族だと思っているかも知れません。
もしも、そうなら「猫の運動会」の開催中に、寝ようとしている飼い主さんの顔を噛んだり、体を引っかいたりするのは、
「運動会だよ!一緒に参加してよ!」と、運動会への参加を強制しているのでしょう。
「猫の運動会」は、「葛藤行動」から起こる行動
「葛藤行動」とは、「転位行動」、「転嫁行動」、「真空行動」の3つからなり、動物が自分を落ち着かせたり、気を紛らわせるためにとる行動を言います。
実は、さきほどご紹介した「猫の運動会」の競技種目は、全てこの「葛藤行動」に当てはまります。
例えば、ジャンプと全力疾走は、「真空行動」の一つで、なんの目的も衝動もないのに、ただ、飛びたいから飛ぶ、走りたいから走る、というだけの行動です。
次に「強制勧誘」ですが、これは「転嫁行動」と呼ばれる行動の一種と考えられます。
「転嫁行動」とは、緊張や恐怖などと言った過度のストレスを感じた時、そのストレスから逃れるために、全く関係のない相手にそのうっぷんをぶつける、と言った行動です。
私たち人間にも、自分のしたいことが出来ない時、あるいは思うようにいかない時に
壁を蹴りたくなったり、側にいる人にきつい言葉を浴びせるなどの八つ当たりがしたくなる、ということがありますが、それと同じようなものです。
例えば、自分が走り回っているせいで、調度品などが床に落ち、大きな音がして驚き、そのせいでパニックに陥ってしまった。だから、そのパニックを収めるために飼い主さんに嚙みつく。
それが、転嫁行動です。つまり、「パニック」になっても、飼い主さんを噛んで、八つ当たりに転嫁することで猫は冷静さを取り戻す、と言うワケです。
本当に猫は夜行性なの?
実は夜行性ではない?
おそらく、にゃんこの飼育経験の有無に関らず、ほとんどの人が「猫は夜行性の動物」だと思っているでしょう。
動物学的に言うと、家猫として人と一緒に暮らしているにゃんこは、「夜行性」ではありません。
そもそも、夜行性とはどんな生態のことを指すのでしょう?
辞書によると、「夜間に活動し、昼間休む性質のこと」を言います。
その言葉だけなら、にゃんこに当てはまります。
けれど、動物の生活時間は、それぞれの動物独自に持っている「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子によって、行動時間が決まります。
例えば、完全に夜行性であるフクロウや、コウモリは遺伝子レベルで夜に活動するように
体内時計がセットされています。
けれども、私たちがいう「にゃんこたち」つまり、家猫が持っている「時計遺伝子」は
夜行性用ではありません。
つまり、にゃんこは夜行性の動物ではない、ということです。
では、なぜ、夜になると活発になるように感じるのでしょうか。
にゃんこは「薄明薄暮性」
はくめいはくぼ、と読みます。これは「明け方と日暮れ時に最も活発に活動する習性」ということです。実は、犬もこの「薄明薄暮性」です。
猫や犬は、私たち人間と共存して来た歴史の中で、
夜に狩りをしたり、明るい日の光の中で身を隠したりする必要がなくなりました。
とはいえ、犬も猫も、完全に人間の家族の一員として飼育されるようになったのは
ごく最近です。
ですから、完全に人間と同じ活動「昼行性」になるまでには至らず、
野生で生きていた頃の「夜行性」がまだ体の中に残って、夜行性でも昼行性でもない「体内時計」を持つようになったと思われます。
にゃんこが夜行性だと思われる理由
・昼間によく眠っているから
・夜の方が活発に動いているように感じるから
・暗闇でもしっかり目が見えるから
などの理由によって、「猫は夜行性だ」と思われているようです。
夜、ゆっくり寝てくれるにゃんこを育てる方法 3選
食事の時間をコントロールする
「うちのにゃんこは、好き嫌いが多い」と悩んでいる飼い主さんは多いと思います。
お気に入りのフードしか食べない、あるいはそのお気に入りのフードも
「食べたいときに食べたいだけ食べる」タイプのにゃんこもいますので、
にゃんこの食事は、人間の子どもさんに食べさせるよりも、管理が難しい場合もあります。
ですから、にゃんこの食事の与え方は、にゃんこが食べたい時に食べたいだけ食べれるようにする「置き餌派」と、きちんと決まった時間に食事を与える「定時制ご飯派」の2パターンに分かれます。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、
「夜にしっかり寝て欲しい」と思うのであれば、「定時制ご飯」をオススメします。
なぜなら、食事の時間を飼い主さんがコントロールすることによって、にゃんこの生活リズムを規則正しく整えることが出来るからです。
私たち人間も、お腹が膨れたら眠気を感じます。この反応は、にゃんこも同じです。
夜、眠ってほしい時間には、にゃんこが腹6分目か8分目くらいにお腹が満たされているように、ご飯の時間や量を調整してみましょう。
もし、置き餌派から「定制時」にシフトするのであれば、
まずは、にゃんこにとって適正な食事量を調べ、その量を決まった時間に与えるよう、
徐々に習慣づけていきます。
しっかり遊ばせて運動量を増やす
人間の子どもさんも、しっかり遊んで運動をした日は、ぐっすり眠ってくれます。
昼間お仕事などでにゃんこだけがお留守番をする場合、退屈で寝る以外にすることがなかったら、どうしても夜に目が冴えてしまいます。
お留守番をしていても、一人で遊べたり、高低差のあるキャットタワーで運動したりといった工夫をすれば、にゃんこの運動量を増やすことが出来ます。
また、夜、家族が揃ったときに、ほんの数分程度でも、毎日 にゃんこと遊ぶ時間を作ってあげると、にゃんこの運動不足の解消もできる上、にゃんこは、飼い主さんやご家族のことをもっと好きになってくれます。、
飼い主さんが規則正しい生活をする
基本的に、人といっしょに暮らしているにゃんこは、人の生活リズムに合わせて生活することが出来ます。
ですから、にゃんこに「夜、ぐっすり寝てほしい」と思うのであれば、
飼い主さんや、ご家族が規則正しい生活をするように心がけてみましょう。
例えば、眠るときは電気を消す、パジャマに着替える、静かにする…と言った生活習慣を
実践してみて下さい。
にゃんこが好むベッドの条件 場所偏
狭い場所
私たち人間は、手足を伸ばしてゆっくり寝るとリラックスしますが、
にゃんこは、体を丸める姿勢で寝ることを好みます。
にゃんこが好むおおよその大きさは、丸くなったにゃんこの体がすっぽり包まれる程度がちょうど良いでしょう。
暗い場所
身を隠す必要などなくても、にゃんこは一人で静かに、誰にも邪魔されないで眠れる場所が
大好きです。
キャットタワーを設置するなら、巣穴のような場所があるタイプを設置したり、
潜り込めるように、キャットハウスなどを置いてあげましょう。
昔ながらの「ねこちぐら」も、猫が落ち着ける要素を満たしているので、オススメです。
また、最近は完全に身を隠せる場所ではありませんが、
テーブルや椅子の下にも設置できるハンモックタイプも人気が高まっています。
高い場所
見上げるほど高い場所に設置する必要はありませんし、絶対に設置するべきとも言えません。
けれども、大きめのキャットタワーと、そこに設置されたベッドは、カーテンレールや神棚、タンスの上などの高い場所で、リラックスするタイプのにゃんこさんには、きっと気に入って貰えるはずです。
にゃんこが好むベッドの条件 素材偏
夏はひんやり、冬はぽかぽか
人間も、夏と冬で寝具やパジャマを使い分けます。にゃんこも夏は涼しい場所でよくお昼寝しますし、冬は家の中で一番、心地よいぬくもりに包まれる場所を上手に探して、
その場所を占領していることがよくあります。
冬なら、毛布や飼い主さんが着古したフリースをにゃんこのベッドに敷いたり、
肌触りが良く、ポカポカ、ふわふわして心地よい素材を選びます。
夏は、冷感マットなど、触感がひんやりとした素材を選びましょう。
いずれも、清潔に保つことが大前提なので、丸洗いが出来、こまめに洗濯できるものを
選んでください。
では、夜、ゆっくり寝てくれるにゃんこに育った後、寝姿でわかる熟睡度についてご紹介しましょう。
寝姿でわかる熟睡度
香箱座りの時
4本の足をお腹の下に折り畳んで座る「香箱座り」は、とても猫らしく、一見愛らしい姿です。ただし、この「香箱座り」の場合、リラックスしていても、ぐっすり寝る気はようで、熟睡度で言うと、「居眠り」程度です。
アンモニャイトの時
「アンモニャイト」とは、化石の「アンモナイト」に似ていることから、にゃんこが頭とお尻をくっつけて丸くなっている姿のことを言います。熟睡度でいうと、かなり深く眠っています。
横向きで足を投げ出している時
横向きに足を投げ出している時は、全身の力が抜けている状態なので、かなりリラックスしており、熟睡度でいうとアンモニャイトの時と同様に深い睡眠が取れています。
へそ天の時
自分に危害を与える者は一切この世にはいない、くらいの無防備な寝姿です。
自分の体の中で、一番の弱点であるお腹をさらして、その上熟睡しているのですから、
「絶対に自分は安全だ」とにゃんこが信じ切っている証拠です。
そして、へそ天で寝るにゃんこの姿は、飼い主さんへの深い信頼度の表れでもあります。
熟睡度で言えば、間違いなく「爆睡」です。
まとめ
「猫だから、夜に遊ぶのは仕方ない」「猫だから、人間の都合に合わすことが出来ない」と
考えるのは、一見、にゃんこの全てを受け入れ、理解しているように聞こえます。
けれども、それは間違っていますし、にゃんこという動物を全く理解しようとしない思い込みです。
人間にも、動物にも全ての行動には理由があって、何か問題が起きたら、まずその原因や理由を探れば、必ず解決の糸口が見つかります。
「にゃんこが夜、寝てくれない」と悩んだり、にゃんこと一緒に暮らす日常の中で、何か問題が起こったら、それはより深く飼い主さんがにゃんこのことを知るチャンスだと思いましょう。
飼い主さんが想像しているよりはるかににゃんこは、人間の生活に寄添える能力を持っています。
その能力を信じて、より快適に一緒に暮らせるように、上手ににゃんこを育てていきましょう。